2004~2009年度の前橋市胃がん検診の成績を内視鏡検診(延べ受診者数72,279人, 男性29,250人, 女性43,029人, 平均年齢66.8歳)と直接X線検診(同69,165人, 25,798人, 43,367人, 65.8歳)で比較した。内視鏡検診の受診者は直接X線検診と比べて, 新規, 男性, 70歳以上の割合が高く, 胃がん発見率は3.3倍であった。偽陰性率は内視鏡検診が直接X線検診よりも低かった。内視鏡検診偽陰性がんはほとんどが早期がんで, 内視鏡治療率が高かった。偽陽性率は内視鏡検診が高かったが, その差は年々縮小していた。内視鏡検診に重篤な偶発症はみられなかった。全発見胃がん522例のうち, 新規受診発見胃がんを除いた199例(内視鏡検診130例, 直接X線検診69例)と, 更にmがんを除いた92例(内視鏡検診47例, 直接X線検診45例)の胃がん死を死亡とした5年実測生存率は, 内視鏡検診がそれぞれ86.8%, 82.6%, 直接X線検診がそれぞれ68.4%, 58.7%で, ともに内視鏡検診が有意に高かった。以上より, 対策型胃がん検診において内視鏡検診は直接X線検診より有用であると考えられた。
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