各種肝疾患95例における血清タイプIIIプロコラーゲンNペプチド(PIIIP)やラミニン値の変動と肝生検組織における肝線維化,細胞浸潤および巣状壊死の程度,タイプIIIコラーゲンやラミニンの分布およびその産生細胞を観察し,さらに血清PIIIP,ラミニン値が肝線維化のマーカーになり得るか否かを検討した.血清PIIIPは活動性の肝病変を呈する疾患で高値を呈し,肝細胞障害に伴なうタイプIIIコラーゲンの形成を反映するものと思われた.また,血清ラミニンは肝線維化の高度な肝疾患例で高値を呈し,基底膜形成の増加をよく反映するものと思われ,血清PIIIPとラミニンを同時に測定することは,肝疾患の活動性,線維化の形成および程度の判定に有用と思われた.また,タイプIIIコラーゲンは伊東細胞,肝細胞,内皮細胞や線維芽細胞,ラミニンは内皮細胞,伊東細胞,肝細胞および胆管上皮細胞などにより産生されることが示唆された.
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