小児輸血療法研究会では, 2005年9月の血液製剤の使用指針の改定に伴い, その実施状況について小児血液を専門とする医師に対してアンケート調査を行った.使用指針に対して肯定的な意見が多く, 赤血球輸血の輸血基準はHb7g/dlを, 血小板輸血は1-2万/μlを, 新鮮凍結血漿は, PTはINR2以上または30%未満, APTTは基準値の上限2倍以上または25%未満であることに同意を示した.血小板輸血については追加事項が必要との考えが多く, 約半数の医師は疾患や病態ごとにきめ細かい基準が必要と回答した.アルブミンや免疫グロブリン製剤の適応にっいても再検討が必要との意見が寄せられた.また, 顆粒球輸血やドナーリンパ球輸注も前向きな臨床研究が必要であろう.代替療法としてエリスロポエチン製剤, 顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) 製剤, recombinant factor VIIa (rFVIIa) 製剤, トラネキサム酸などが有用で, 輸血量を削減する可能性がある.今後, 小児科領域においてもエビデンスに基づく輸血療法の実現のために, よくデザインされた多施設共同研究が行える環境を整備してゆく必要がある.
抄録全体を表示