請負業者賠償責任保険において,被保険者が管理する財物(管理財物)の損害は免責とされている。本稿では,日本における管理財物免責の現状を整理したうえで,日本への賠償責任保険導入以降の米国約款の推移と米国約款になお残る問題点を参考にして,日本における管理財物免責の課題を考察する。結論として,作業対象物以外の財物に関しては,約款文言整理がなお必要であること,ビジネスリスクであるにもかかわらず特約により幅広い補償が提供されていることには一定の妥当性があること,作業対象物に関しては,不備特定部位免責が必要であることを指摘する。さらに,米国約款になお残る問題点のうち,客体誤りと周辺財物損害について一部の会社には取扱方針の公表が期待されることを指摘する。
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