峯ケ塚古墳は,
大阪府
羽曳野市の古市古墳群に属する古墳時代後期に築造された古墳の1つである。羽曳野市教育委員会は, この古墳を史跡として恒久的に活用することを目的として, 保存整備をはかる計画を進めている。そのため, 土木工学的, 土質工学的調査を行った。その結果, いくつかの興味深い点が明らかとなったので報告する。まず, 墳丘に対してボーリングによる試料採取, N値の測定を行い, 採取された試料に対して一連の土質試験を実施した。その結果, 墳丘盛土は数cmから十数cmの粗粒土と細粒土の細かな互層 (一般には版築とも呼ばれる) からなっており, 部分的には有機物を含んでいる。この構造は土質力学的にみると, 排水, 雨水浸透の防止, 強度の増大などに有効で, かつ合理的なものであることが明らかとなった。それを当時の工法で施工したとすると, 延べ276, 008人, 延べ1, 070日, 工費117億円という結果が得られた。
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