愛知県内にはいくつかの特色ある内陸工業地域が形成されている.筆者はこれを流域とする中小河川の水質調査を行ない,河水の溶存成分濃度と流域内の工業生産や人口分布(ともに密度として)とがどのような対応関係にあるかについて考察した.
その結果,流域内の年間工業出荷額密度(千万円/km
2)と河水の溶存成分濃度との間にはかなり密接な関係があった.また工業出荷額密度の上昇にともなって,CODやDO飽和度では二三の異なる増加(減少)傾向が認められた.そして,この増加(減少)傾向の差異は,流域内の卓越工業業種(とくにCOD負荷量の業種別構成比にみる)の差異によるところが大きいことがわかった.
人口密度と溶存成分濃度との関係についても,工業排水による汚濁負荷が比較的少ない流域に限って把えてみると,両者の間に密接な関係が認められた.
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