本研究では、開脚跳びの習得に有効なアナロゴンになりうる練習課題を確認するため「壁倒立」「手押し車」「跳びだし」「タイヤ跳び」「うさぎ跳び」の5種類の練習課題を設定し、開脚跳びの達成度と各課題の達成度との関係を調査分析した。
単相関係数を算出することから「開脚跳びと類似の運動経過がとれること」「手を支点とした体重移動の感覚」「腕支持感覚」「体を前方へ投げだす感覚」を含んだ5種類の練習課題すべてが、開脚跳びの達成度に有意に関係していることが確かめられた。また、重回帰分析の結果から、開脚跳びの達成には、開脚跳びと類縁構造をもつタイヤ跳びと、手を支点とした体重移動を必要とする跳びだしができることが重要であることが示唆された。クロス集計の結果からは、開脚跳びができる子は、タイヤ跳びができる子どもであったことから、開脚跳びと類似の運動経過がとれることが重要であることが示唆された。
開脚跳びができない子についての分析結果から、開脚跳びができない子にとっては、うさぎ跳びがもっとも難しい課題で、次いで跳びだし、タイヤ跳びであることがわかった。クロス集計の結果からも同様のことが確認された。そしてその運動様態を分析することから、開脚跳びができない子は、手を支点とした体重移動をうまく行うことができないため、腰を上挙して肩を前方に出してまたぎ越すことができないという問題を抱えていることが確かめられた。
今後は、実践場面にこの結果を適用し、本研究で提示した指導法の効果を実証することが課題としてあげられる。また、技の達成に向けた練習課題の習得順序性についての研究も行う必要があると考えている。
抄録全体を表示