高速度撮影によって運動動作を記録し, 手の動作変化の形態をとらえ, その状態の観察と, 運針結果の関連性について検討した. 手の測定点の描く曲線, 左右測定点間の形態変化, それに伴う動線長, および仕事量などを計測し, 動作変化の推移を研究することができた.
それによってつぎの結果を得た.
1) 運針動作と運針特性
i) 右手の運針動作は, (1) 布を刺す, (2) 針を出す, (3) 指を動かす, (4) 向きをかえる, 以上4つの基本要素動作に分解される. 左手は右手の反対方向に振れる.
ii) 基本要素動作を規則正しく, 速く行うことが, 規期正しい波形の流れとなり, 正確率が高く, 運針速度が速い.
iii) 波形周期を組み合わせることにより, 対称的な図形となれば, 左右の手がよく対応し, バランスよく動いていることになる.
2) 運針条件と運針結果
i) 針目の正確率は, つかみ間隔 10cmが最もよく, つぎは13cm, 15cmの順序で, 15cmの間隔は長い.
ii) 速度は自由の13cm間隔が最も速く, つぎは10cm, つぎ15cmの順序で, 同じ間隔の場合は線無が速い.
iii) 動作波形の規則正しい, つかみ間隔10cmの線無は, 針目の正確率が高い.
以上のように, 運針動作の分析を, その現象面よりとらえて考察を行った.
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