咸鏡北道
における水田及畑兩土壤の活性並置換性石灰及苦土に關する成績を要約すれば次の如くである.
1. 水田作土の活性石灰は埴壤土及第三系土壤最も大にして砂土及玄武岩土壤最も小である.置換性石灰は埴壤土及第四系土壤最も大にして砂土及玄武岩土壤最も小である.置換性苦土は埴壤土及第四系土壤最も大にして砂土及花崗片麻岩土壤最も小である.
2. 畑作土の活性並置換性石灰は壤土及玄武岩土壤最も大にして砂土及平安系土壤最も小である.置換性苦土は壤土及結晶片岩土壤最も大にして砂壤土及花崗片麻岩土壤最も小である.
3. 活性石灰の分布状態をみるに水田作土,畑作土,耕作地土壤共に「活性石灰に頗富む」といふ状態である.
4. 本道における活性並置換性石灰及苦土の平均値は次の如くである.
全鮮各郡における水田及畑兩土壤の活性並置換性石灰及苦土に關する成績を要約すれば次の如くである.
1 水田作土の活性並置換性石灰は埴土最も大にして砂土最も小である.粘土量の増加に伴ひ増加する.砂土及埴土中の石灰量は場所による不同が甚しい.以上は置換性苦土についても同様である.
2. 水田作土の活性石灰は朝鮮系土壤最も大にして佛國寺層土壤最も小である.置換性石次は朝鮮系土壤最も大にして下部大同系土壤最も小である.置換性苦土は上部慶尚層土壤最も大にして下部大同系土壤最も小である.
3. 水田作土の活性並置換性石灰及苦土は南部朝鮮最も小にして中部を經て北部朝鮮に至るに從ひ増大する.
4. 水田作土には「活性石灰を含む」程度のもの最も多く「活性石灰に缺乏す」程度がこれについで多い.
5. 畑作土の活性並置換性石灰は埴土最も大にして砂土最も小である.粘土量の増加に從ひ増加してゐる。埴壤土及埴土の如き粘土量の多い土壤では場所による不同が大である.以上は置換性苦土についても同様である.
6. 畑作土の活性並置換性石灰は朝鮮系土壤最も大にして下部慶尚層土壤最も小である.置換性苦土は第三系土壤最も大にして下部大同系土壤最も小である.
7. 畑作土の活性並置換性石灰及苦土は南部朝鮮最も小にして中部を經て北部朝鮮に至の最も大である.
8. 畑作土には「活性石灰を含む」程度のもの最も多く「活性石灰に富む」程度のものこれについで多い.
9. 全鮮における活性並置換性石灰及苦土の平均値は次の如くである.
10. 朝鮮土壤の活性石灰は内地土壤に比し算術平均に於ては大であるが重ミ=1に換算する時は甚だ少なく内地土壤の76.5%にすぎない.農業生産擴充策樹立上考慮すべき重要事である.
終にのぞみ分析を擔當せる大前,久納,西本,下平,日比野諸氏に深謝す.
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