学習指導要領の改訂で,中学校に大幅な選択教科が導入されたのに伴い,本校では中高一貫教育で高校受験のない利点を生かし,中学3年生を対象に「テーマ学習」(総合選択学習)をスタートさせた。「テーマ学習」の主旨は,既存の教科では包摂できない分野や内容の学習や少人数での主体的な探究活動にある。これと同様の実践は,他の国立大学附属校などで以前から行われており,今回,本校の「テーマ学習」と比較しながら,中等教育における総合選択学習の現状分析と今後の課題についての検討を試みた。総合選択学習のねらいを,主体的な探究能力の育成のみにおくならば,現状の各校の方法でも十分に目的を達成し得る。しかし,環境問題などグローバルかつ多くの複雑な要素の結びついた問題に,主体的に取り組み判断のできる知識と能力の育成のためには,単に各教科の並列ではない,総合教科的学習が不可欠となるだろう。
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