トラクタのPTO動力で大形けん引作業機の車輪を駆動する機構は, トレーラを含めたけん引作業機の走行性の改善や省エネルギー作業に連なると考え, これらを車輪駆動形けん引作業機系と名付けて, その走行性および動力性能を解析した。まず, 車輪駆動装置を付けたトレーラを製作して作業機を模し, プラウ耕後の軟弱ほ場での検証実験を行って, 簡略 Bekker 式からなる推力係数関数を基礎式とした静的力学モデルが適合できることを確認した。これをもとにして, 作業機重量・作業時の抵抗・推力係数関数の相違が, これら系の走行性に与える影響をパラメータスタデイによって検討した。
その結果, 周速度比Rsが大きくなると系の所要動力は大きくなるが, 単位進行距離当りの所要エネルギーは減少し, 車輪駆動によるアシスト効果を強く認めた。しかし, 大形けん引作業機を前提にした場合, 走行安定を損なわないためにも, トレーラがトラクタを押す力を発生しない様にするには, 一般に周速度比Rsを0.8程度以下に設定するのが望ましい。
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