この研究においては, グラフの形態に関する数理的な基礎理論をまとめた。
固有多項式
の係数, 固有値, 点の値などの数学的な構造を十分に解明し, 計画的指標へ用いることの可能性が見出せたと思う。これらの指標を用いた実証的な研究は(2), (14)および当研究応用編を参照されたい。上記研究ではその他にグラフ形態に対しての指標, 点の次数, 均質度, 辺項点比, 閉路充足率, およびπ指標などを合わせて分析してあるが, これらの指標の多くは, 固有値, 固有ベクトルに関する指標の簡略化とも見なせるものであり, 両指標群の間には密接な関連がある。この関連については稿を改めて述べたい。グラフの形態に関しての特徴を記述する方法は, 更に具体的な問題の中で様々に必要となるはずであるが特に, グラフの点の付加削除については, 都市や建築空間の動的な変化を把握する上で重要と思われる。今後この問題について, 具体例ともども基礎理論を充実していきたいと考える。
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