道路の発生が、人類がこの地上に生活を開始すると同時であったことについては、異論のないところであろう。しかしながら、これを「道路網」として補える場合には、やはり、地方あるいは中央集権的な権力の確立によって、政策的な意図のもとに配置せられたものによって、把握せざるを得ないのであろうと思われる。
物理的な道路そのものの実態は、時代の流れとともに、政治・経済・社会状勢の変化、輪送機関の発達、土木技術の発展などによって、部分的には廃絶したり、あるいは大きく変化してゆくものではあるが、しかし、幹線道路網という大局的な視点から見ると、その基本的な変化は意外に少ないのも事実である。このことは、地形・地勢などの自然条件に基く、人間生活上の好適地、あるいは道路の対面する地形上の制約などの条件というものが、時代の流れを超えて、依然として存在していることを示すものでもあろう。
このことについて、九州北部地区を例として、駅路、街道、国道という道路網のうつり変わりについて考察したものである。
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