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  • 日本心理学会大会発表論文集
    2007年 71 巻 E_WS029
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/08/15
    会議録・要旨集 フリー
    話題提供者所属訂正 (誤)国際医療福祉大/付属三田病院 武田克彦# (正)
    国際医療福祉大学三田病院
     武田克彦#
  • 櫻井 愛子, 飯田 智恵, 黒澤 みどり, 草野 俊輔, 西山 誠, 藤田 順之, 石川 雅之, 福井 康之, 山本 澄子
    理学療法学Supplement
    2009年 2008 巻 P2-456
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    腰部脊柱管狭窄症(以下,LCS)は,椎間関節や椎間板の変性などにより脊柱管が狭窄し,馬尾神経・神経根が圧迫を受けて下肢痛や間歇性跛行などの臨床症状を呈する疾患である.LCS患者の多くは,体幹筋の筋力低下,腰椎の可動域制限を呈すると考えられているが,筋力低下や可動域制限の結果として生じる動的な腰椎屈伸運動の定量的評価は行われていないのが現状である.今回,我々は,LCS患者の腰椎屈伸の動きの特徴を示すことを目的とし,座位における体幹屈伸の動作解析を行ったので報告する.
    【方法】
    健常成人4名(男性4名,25±0歳),
    国際医療福祉大学三田病院
    にミエログラフィ目的で入院したLCS患者5名(男性2名・女性3名,73.8±5.8歳)を対象とした.被験者には,実験前に研究内容を文書と口頭で十分に説明し,同意を得た.計測動作は,座位で前方を注視させたまま,胸を後方に移動させながら背中を丸くする屈曲動作と,胸を前方へ移動させながら背中を反る伸展動作とし,屈曲から伸展,伸展から屈曲の運動を無作為に10施行行った.動作計測には,三次元動作解析システム(VICON MX)を用いて,胸郭と骨盤に貼付したマーカから胸郭座標系,骨盤座標系を設定し,全体座標系に対する胸郭角度と骨盤角度,骨盤胸郭間の相対角度,骨盤に対する胸郭の前後方向位置を算出した.算出した値の最大前傾値,最大後傾値,変化量を求め,各被験者における10施行分の平均値を代表値とした.健常群,LCS群の比較には,Mann-Whitney U検定を用いた.
    【結果】
    胸郭角度,骨盤角度,相対角度,前後方向位置のそれぞれにおいて健常群とLCS群の比較を行った結果,LCS群は健常群に対して骨盤胸郭間の相対伸展角度が有意に小さく(p<0.05),骨盤前後傾変化量,骨盤胸郭間の相対角度変化量,骨盤に対する胸郭の後方変位位置が減少する傾向が認められた(p<0.10).
    【考察】
    腰椎は骨盤と胸郭間に位置し,相対的な位置関係や回転方向により,屈伸方向が決定される.今回の計測では,後方に移動した胸郭や頭部の質量を腹筋群で保持する屈曲動作と前方に変位した質量を背部筋群で保持する伸展動作を課題とした.LCS患者は骨盤胸郭間の相対伸展角度が有意に小さな値を示し,骨盤の前後傾角度が減少,後方への胸郭移動が減少する傾向を示したことから,狭窄肢位である骨盤胸郭間の相対伸展角度の減少だけでなく,腰椎より上部の頭部・胸郭位置を保持する腹筋群の筋力低下,骨盤胸郭間の相対的な可動域低下を代償すべき股関節筋群や体幹筋群の協調不全が示唆される.ただし,LCS患者は多様な脊柱のアライメント,立位・座位姿勢を示すため,今後は脊柱アライメントや姿勢との関連性,対照群である健常群の年齢等も考慮して被験者数を増やし,更なる分析を進めていく必要があると考える.
  • 日本血管外科学会雑誌
    2023年 32 巻 Supplement 号 論文ID: 23-suppl-S3
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/13
    ジャーナル オープンアクセス
  • 石井 貴弥, 原 毅, 井川 達也, 四宮 美穂, 西村 章典, 出浦 健太郎, 櫻井 愛子, 草野 修輔, 三浦 弘規, 久保 晃
    理学療法学Supplement
    2014年 2013 巻 1594
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】頸部郭清術は,頸部リンパ節転移を最も確実に抑制でき,頭頸部がん手術の中で最も頻回に施行される術式である(鎌田,2008)。一方で術中操作により副神経の軸索損傷を呈し,術後僧帽筋麻痺を生じることが問題視されている。先行研究では,肩外転角度や針筋電図による評価が行われているが(Wilgen,2003 Tsuji,2007),頭部位置など全身の姿勢を含めた評価は行われていない。また術後の姿勢は,僧帽筋麻痺だけでなく創部や術前からの個々の姿勢を考慮する必要があると考える。そこで本研究では,頭頸部がん患者の術前から術後1か月までの矢状面上立位姿勢と肩外転角度および肩甲骨脊椎間距離の計測を行い,それらの経時的変化を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,当院頭頸部腫瘍センターにおいて手術治療目的で入院し,腫瘍切除術と頸部郭清術および遊離皮弁による再建術を同時に施行された15名(男性13名,女性2名,平均年齢56.7±11.1歳)とした。手術側の定義は,頸部郭清側および皮弁再建術の血管吻合側とした。開眼静止立位の矢状面上の計測には,姿勢測定器POSTURE ANALSER PA200を用いた。マーカーは,手術側の耳孔,肩峰外側端(以下,肩峰),第7頸椎棘突起(以下,C7)の3か所に貼付した。計測値は第5中足骨底を原点とし,耳孔,肩峰それぞれの前後距離,C7を軸とした耳孔と肩峰のなす角を頸部屈曲角度として算出した。肩外転角度(以下,肩ROM)は立位にて自動外転角度をゴニオメーターで計測した。肩甲骨脊椎間距離は,肩甲骨外側スライドテスト(以下,LSST)を用いた。条件は上肢下垂位,Hands on hip位,肩外転90°位とし,各条件での肩甲骨下角から脊柱への垂線の距離を測定した。各々計測は,手術日より1日以上前の時期(以下,術前)と手術日より14日前後経過した時期(以下,術後)と術後1か月(以下,1か月)に行った。統計学的解析には,Friedman検定を用いて各パラメーターを術前,術後,1か月の3郡で比較を行い(p<0.05),多重比較検定はBonferroni補正Wilcoxon順位和符号付き検定を用いた。(p<0.016)【倫理的配慮,説明と同意】本研究は
    国際医療福祉大学三田病院
    倫理審査委員会の承認を得て,対象者に文書と口頭による説明をした後,同意が得られた者を対象とした。【結果】耳孔前後距離は術前29.0±31.8mm,術後39.2±32.4mm,1か月44.9±33.7mm。肩峰前後距離は術前-2.9±29.1mm,術後25.8±27.2mm,1か月30.8±23.1mm。頸部屈曲角度は術前75.8±18.5°,術後65.1±10.2°,1か月67.1±14.7°であった。肩ROMは術前164.0±13.9°術後87.6±24.0°1か月119.7±37.5°であった。LSSTは上肢下垂位で術前87.0±12.2mm,術後91.3±10.9mm,1か月92.7±13.9mm。Hands on hip位で術前95.7±13.7mm,術後95.7±9.3mm,1か月99.3±10.9mm。肩外転90°位では術前98.3±13.5,術後116.0±11.5mm,1か月122.7±15.5mmであった。耳孔前後距離と肩峰前後距離,肩ROM,LSST肩外転90°位に有意な主効果が認められた。多重比較検定では肩峰前後距離と肩ROMとLSST肩外転90°位に術前と術後,術前と1ヶ月の間に有意差が認められた。【考察】術前から1か月にかけて,肩峰は前方へ有意に移動し,LSST90°外転位は肩甲骨が外転方向へ有意に移動した。また肩ROMは術後低下し,1か月には増加する傾向にあった。Tsujiらは術後4ヶ月において58.6%に重度の僧帽筋麻痺を認めると報告している。また鬼塚らは,肩ROMは術後一旦低下するが,術後6ヶ月には150°以上に回復すると述べ,僧帽筋が最も関与すると述べている。本研究においても肩ROMは,術後一旦低下し,その後向上することから先行研究と同様に回復傾向にあると推察する。梅本らは,LSST90°外転位と肩ROMとの相関が高いことを示している。一方,本研究では,肩峰前後距離とLSST90°外転位では術後から1ヶ月にかけて肩甲骨外転・前方に移動したのにも関らず,肩ROMが拡大する傾向が認められた。よって術後僧帽筋麻痺は肩ROMのみでは評価できない可能性があり,立位姿勢や手術情報なども含め多角的に評価すべきであると考える。【理学療法学研究としての意義】立位姿勢は著明に変化し,術前からの評価が重要である。また肩ROMは,頭頸部がん患者の術後僧帽筋麻痺の代表的な一指標である。しかし本研究から肩ROMのみでは,客観的な術後僧帽筋麻痺の評価が困難である可能性が示唆され,今後立位姿勢やLSSTもあわせて検討する必要があると考える。
  • 原 毅, 佐野 充広, 四宮 美穂, 野中 悠志, 市村 駿介, 中野 徹, 松澤 克, 石井 貴弥, 吉田 智香子, 櫻井 愛子, 草野 修輔, 久保 晃, 久保田 啓介
    理学療法学Supplement
    2013年 2012 巻 D-O-02
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
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    【はじめに】近年、がん生存率は、早期かつ適切な診断や治療技術の進歩などがん医療の発展により、世界的に増加傾向にある。がん生存者の増加に伴い、積極的な治療後の生活の質(Quality of Life;以下QOL)維持や職業復帰など退院後の生活状況が重要視され始めている。主に国外から、がん患者のQOL向上を目的としたリハビリテーション(以下リハ)関連の介入研究は、いくつも報告され、介入効果が証明されている。一方国内では、がん患者のQOLに着目したリハ関連の報告は少なく、日本のがんリハ発展のためにも早急に検討すべき課題と考える。そこで本研究では、周術期消化器がん患者を対象に手術前と自宅復帰後でQOLを評価、比較し、周術期から自宅復帰後のQOL変化を明らかにする。また、自宅復帰後に有意な低下を認めたQOLには、対象者から手術前後に得られた基本情報、手術情報、生化学データ、身体運動機能評価値が影響するか否か、その可能性について予備的検討することを目的とした。【方法】対象は、平成23年5月から平成24年10月末の間に当院リハ科に依頼のあった周術期消化器がん患者57名(男性30名、女性27名、平均年齢62.6±11.4歳)とした。対象者の基本情報(年齢、性別、手術部位、がん進行度)と手術情報(手術術式、手術時間、出血量)は、カルテより収集した。手術術式は、腹腔鏡を使用し手術を施行された者と開腹にて手術を施行された者の2水準に分類した。生化学データは、手術日から1日以上前の時期(以下術前)と手術日から10日前後経過した時期(以下術後)の血清アルブミン値と総リンパ球数、術後のC反応性蛋白(以下CRP)をカルテより収集し、術前と術後の小野寺式栄養指数(以下PNI)を算出した。身体運動機能評価は、術前と術後に等尺性膝伸展筋力(以下KEM)、Timed “Up and Go” test(以下TUG)、6分間歩行距離(以下6MD)を実施した。KEMは、ハンドヘルドダイナモメーター(アニマ社)を使用し、ベルト固定法で2回行い最大値(kgf)を体重で正規化(kgf/BW)した。TUGは、高さ40cmの椅子に着座した状態から3m先の目標物を回って再度着座するまでの時間を最大速度で2回行い、最小値 (sec)を採択した。6MDは、 6分間可能な限り歩行できる距離(m)を歩行用距離測定器(セキスイ樹脂)で1回評価した。各々の評価指標は、術後評価値/術前評価値×100%の式から変化率を算出した。QOL評価は、術前と手術日から4週間前後経過した時期(以下退院後)にSF-36v2アキュート版(以下SF36)を使用し、健康関連QOLを評価した。統計学的処理には、Wilcoxonの符号付き順位和検定でSF36の下位尺度得点を術前と退院後で比較した。また、従属変数を退院後に有意な低下を認めた下位尺度得点、独立変数を対象者の基本情報、手術情報、生化学データ、身体運動機能評価値の内,従属変数の下位尺度得点と有意な相関あるいは有意差を認めた項目に設定した重回帰分析(ステップワイズ法)を使用し、退院後の下位尺度得点の影響因子について検討した。有意水準は全て5%未満とした。【倫理的配慮】本研究は、
    国際医療福祉大学三田病院
    倫理委員会に承認されている(承認番号:H23-05)。【結果】退院後の下位尺度得点は、身体機能(以下PF)、日常役割機能(身体)(以下RP)、体の痛み(以下BP)、日常役割機能(精神)(以下RE)に有意な低下を認めた。これら下位尺度得点と有意な相関あるいは有意差を認めた項目は,PFが性別,年齢,術後PNI,術前と術後TUG,TUG変化率,術後6MD,6MD変化率,RPが6MD変化率,がん進行度,BPが術後PNI,術後CRP,術後6MD,REががん進行度であり,各々独立変数として投入した。重回帰分析の結果より算出された予測モデルには、PFに術後TUG、術後PNI、性別(R=0.663、R²=0.440)、RPにがん進行度、6MD変化率(R=0.425、R²=0.180)、BPに術後6MD、術後CRP(R=0.414、R²=0.141) の独立変数が選択された。REは、予測モデルが算出されなかった。【考察】周術期消化器がん患者の自宅復帰後QOLは、身体的健康より精神的健康が比較的改善しやすい傾向が明らかになった。重回帰分析の結果より自宅復帰後QOLには、疾患特有の因子(がん進行度)や周術期の因子(手術後の栄養状態や炎症症状)、一般の因子(性別)が選択された一方で、理学療法士が臨床現場で使用する身体運動機能評価値(TUG、6MD)が影響している可能性が明らかとなった。このことから周術期消化器がん患者の身体運動機能は、手術前後で適切に評価し、把握することが重要と考える。今後は、対象者増加や投入する交絡因子の再検討など,より一層の検証作業が必要と考える。【理学療法学研究としての意義】周術期消化器がん患者には、自宅復帰後QOLに身体運動機能を含む手術前後の情報が影響している可能性があり、在院期間の短い周術期でもリハ分野が自宅復帰後QOL向上に貢献できる可能性があると考える。
  • 井川 達也, 保坂 亮, 松澤 克, 打越 健太, 綱島 脩, 鈴木 彬文, 櫻井 愛子, 石原 慎一, 角田 亘, 草野 修輔, 福井 康之
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 P-MT-06-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
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    【はじめに,目的】

    腰部脊柱管狭窄症(以下,LSS)は下肢痛や間欠性跛行を伴う歩行能力低下によってADLが制限される疾患である。高齢症例においては体重や筋肉減少などを含めたフレイルも加わり,生活空間が狭小化する要因となる。この生活空間の評価として生活移動尺度(以下,LSA)が多く用いられ,類型分類にて活動狭小型とされた高齢者は,要介護度も高くLSA得点も低下する。しかしLSS症例の活動が狭小化する要因は明らかとなっていない。そこで本研究は高齢LSS保存症例において活動狭小型に分類される症例の身体要因を明らかにすることを目的とした。

    【方法】

    対象は65歳以上の高齢LSS症例100例(女性51例,男性49例,年齢74.3±5.5歳)とした。対象者の選択基準は自力で屋内歩行が可能で,かつ検査に対する指示理解が良好な症例とした。本研究では,LSA得点を基に活動狭小群(56≧LSA),非活動狭小群(LSA>56)の2群に分類した。2群に独立した要因を検討するため年齢,性別,BMI,LSSに関する麻痺筋の有無,下肢筋力,10m歩行時間,LSS疾患特異的評価尺度ZCQにおけるサブスコア重症度と身体機能,腰痛特異的QOL評価尺度RDQスコア,腰痛および下肢痛のVASを評価指標として調査した。統計はLSA得点にて分類した2群を目的変数とし,その他の評価指標を説明変数とした多重ロジスティック回帰分析を行い,活動狭小群に独立して影響を及ぼす要因について検討した。なお危険率5%を有意水準とした。

    【結果】

    活動狭小型に分類された症例は25例であった。変数の散布図において,著しく直線関係を示すような変数は存在しなかった。尤度比変数増加法による多重ロジスティック回帰分析の結果,モデルχ2検定結果はP<.01であり有意であった。また選択された有意な独立変数はZCQサブスコア身体機能,10m歩行時間の2項目(P<.01)であった。オッズ比はそれぞれ4.66(95%信頼区間,1.69-12.81),1.33(95%信頼区間,1.08-1.63)であった。Hosmer and Lemeshowの検定結果はχ2=9.93,P=.270であり,判別的中率は82.0%で良好であった。実測値に対して予測値が±3SDを超えるような外れ値は存在しなかった。

    【結論】

    ZCQサブスコア身体機能は歩行距離と歩行能力に対する質問5項目で構成されており,間欠性跛行の程度を反映している。本研究の結果より高齢LSS症例において間欠性跛行は活動範囲を狭小化させる要因となることが明らかとなった。間欠跛行を改善する方法として,小股および体幹前傾にて歩行することが挙げられ,これらの姿勢での歩行は脊髄硬膜外圧を減少させ症状を軽減させることも報告されている。また屋外歩行時には体幹前傾位を維持するための歩行補助具使用も有効であると考えられる。さらに10m歩行速度が速い症例では,LSAが高得点化することも明らかとなり,LSSに特異的な間欠跛行や疼痛等の評価に加え,短距離歩行能力も注目して評価する必要があることが示唆された。

  • 石井 貴弥, 原 毅, 出浦 健太郎, 西村 晃典, 四宮 美穂, 井川 達也, 草野 修輔, 三浦 弘規, 久保 晃
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 P-DM-02-1
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】頸部リンパ節を切除する頸部郭清術は,頭頸部がん手術の中で必要不可欠であるが,手術中の操作で,胸鎖乳突筋を牽引し副神経の軸索損傷を呈し,肩関節外転可動域(以下,外転ROM)制限を生じることが問題点である。しかし,我々は手術後早期から外転ROMが改善すれば,退院後のQuality of Lifeが良好に維持できることを明らかしている。消化器がん患者では,手術前の栄養状態が手術後合併症の発生率や身体機能に関係することが報告されている。また我々は,頭頸部がん患者において,両側郭清の有無が手術後早期の外転ROM改善に影響することを明らかとしている。よって,本研究の対象者でも栄養状態と外転ROMの関係性あり,さらに片側郭清と両側郭清の間では傾向が異なると仮説を立てた。そこで本研究では,口腔・咽喉頭がん患者における手術前栄養状態の傾向と手術後早期の外転ROMの関係性を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,副神経を温存した頸部郭清術施行後の口腔・咽喉頭がん患者44名54肢(男性31名,平均年齢58.4±10.3歳)とした。手術前より肩関節外転可動域制限を認めた肢は除外した。方法は,手術前と手術後1か月の外転ROMを計測し,その変化比(以下,%外転ROM)を算出した。また,手術前栄養状態として,血清アルブミン値(以下,Alb)を収集し,同時期の身長と体重を用いてGeriatric Nutritional Risk Index(以下,GNRI)を算出した。さらに,先行研究の%外転ROMのカットオフ値57.6%と手術式によって,対象者を改善群と非改善群および片側郭清群と両側郭清群のそれぞれ2群に分類した。統計学的解析には,対応のないt検定とPearson積率相関分析を使用した(p<0.05)。【結果】Albは,改善群4.5±0.3g/dl,非改善群4.2±0.3g/dl,GNRIは改善群106.3±5.8,非改善群102.8±5.6となり,それぞれ有意差が認められた。また%外転ROMと相関係数は,対象者全体でAlb(r=0.43),GNRI(r=0.35)であり,有意な相関関係が認められた。さらに片側郭清群ではAlb(r=0.38),GNRI(r=0.17),両側郭清群ではAlb(r=0.55),GNRI(r=0.59)であり,両側郭清群のGNRIのみ有意な相関関係を認めた。【結論】%外転ROMによって手術前栄養状態に差があり,対象者全体の手術前栄養状態と%外転ROMとの間に中等度の相関関係を認められた。本研究の対象者は,口腔・咽喉頭といった摂食嚥下機能に関係する部位に腫瘍を呈しているため,手術前より食事量が減少し低栄養状態の可能性がある。このような背景から,手術後早期の筋力や神経回復を遅延させたと推察できる。以上より,%外転ROM改善困難例では,より詳細な手術前の食事量や体格などの栄養状態の把握が必要である。
  • 市村 真也, 朝本 俊司, 土居 浩, 徳永 仁, 岡部 輝雄, 各務 宏, 稲葉 真, 矢﨑 貴仁
    脊髄外科
    2011年 25 巻 2 号 191-194
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/05/11
    ジャーナル フリー

      A spine exposed to radiation can easily become compromised with of osteonecrosis and fracture due to hematogenous disorder and bone fragility. We report cases of 2 patients with pyogenic spondylodiscitis caused by mixed bacterial infection after radiation therapy and review the literature. The patients were a 67-year-old woman (case 1) who had undergone catheterization for acute myocardial infarction 7 years before the time of presentation and a 76-year-old man (case 2) who had undergone radiotherapy for pharyngeal cancer 4 years before the time of presentation. Patient 1 presented with fever, lumbago, and severe pain in the right lower limb. Patient 2 presented with fever and quadriplegia. Patients 1 and 2 were diagnosed with pyogenic spondylodiscitis at L3/4 and C5/6, respectively. Computed tomography-guided puncture was performed in case 1, and decompression and fusion were performed via an anterior approach in case 2. The culture test revealed mixed bacterial infection in both cases. The infection was treated by using antibiotics and by administering hyperbaric oxygen therapy.

  • 武田 克彦
    臨床神経学
    2008年 48 巻 9 号 672
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/26
    ジャーナル フリー
  • 工藤 優, 原藤 健吾, 櫻井 愛子, 砂田 尚架, 飯田 智絵, 福井 康之, 大谷 俊郎
    理学療法学Supplement
    2011年 2010 巻 OF2-075
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/26
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    前十字靭帯(ACL)損傷患者には脛骨の回旋運動や前後方移動に起因した膝関節の不安定性が生じる場合が多い.ACL損傷患者の歩行動作において,膝関節の屈曲伸展を抑制し不安定性を防止するというStiffening Strategyが広く知られている.このように歩行時のStiffening Strategyは,膝関節の矢状面での運動を小さくし脛骨の前方移動を抑制することであるが,水平面における脛骨の回旋運動も小さくする傾向があるのではないかと考えられる. しかし,脛骨の回旋運動は微小な運動で,従来の動作解析システムでは測定困難であった.そこで今回われわれは,多点マーカーを用いることにより,実際の骨運動との整合性が高いPoint Cluster Technique(PCT)を用いて,ACL損傷例の患側と健側の脛骨回旋運動を比較検討した.
    【方法】
    対象はACL損傷患者5名(平均年齢22.8±4.3歳,男性1名・女性4名)とした.ACL損傷の受傷から計測までの期間は3.2±2.1ヶ月であった.計測は,体表に赤外線反射マーカー36点を貼付し,三次元動作解析システムVICON MX(カメラ10台)を用いて行った.歩行計測に先立ち,各関節の標準化のために静止立位の測定を行い,その後,自由速度の歩行を3回施行した.なお,測定前に数回の練習を行った後に計測をした.計測したマーカー位置よりAndriacchiらのPCT法を用いて膝関節屈曲伸展角度,脛骨内外旋角度を計算し,静止立位角度により補正した.屈曲に関しては,患側と健側の立脚初期から中期における屈曲ピーク値と立脚期中期の伸展ピーク値を算出し,その差の平均値を比較した.内旋に関しては,踵接地(HC)時の内旋角度と立脚中期の内旋ピーク値を算出し,その差の平均値を比較した.統計学的解析にはPaired-T testを用い,P<0.05を有意差ありとした.
    【説明と同意】
    本研究は,
    国際医療福祉大学三田病院
    倫理委員会の承認を得,対象者に口頭と文書にて説明を行い,研究の参加に対する同意を得て行った.
    【結果】
    立脚初期から中期における屈曲ピーク値と立脚中期の伸展ピーク値の差は患側膝関節では8.0±1.6度,健側膝関節では15.1±4.4度であり,患側と健側の膝関節で統計学的有意差を認めた(p<0.05). HC時の内旋角度と立脚中期の内旋ピーク値の差は患側膝関節では11.9±7.0度,健側膝関節では12.4±5.8度であり,統計学的有意差は認めなかった.しかし,5例を個々に検討すると,2例で患側の内旋角度の差が健側に比し大きかった.この患側の内旋角度の差が大きい2例は,直後に施行された関節鏡所見において不安定性を伴う半月板損傷を合併する症例で,1例は内側半月板,もう一例は外側半月板損傷であった.
    【考察】
    ACL損傷患者は,前述したように膝関節の安定性を保つため,歩行時に屈曲伸展角度を小さくするStiffening Strategyをとることが知られている.ACL損傷による膝関節の不安定性は脛骨の回旋運動や前後方向移動に起因するため,われわれは立脚中期における脛骨の内旋運動が小さくなることを期待したが,本研究では先行研究と同じくStiffening Strategy は認めたが,回旋においては有意差を認めなかった.これは半月板損傷を合併する2例で屈曲伸展角度は小さいにもかかわらず,HC時の内旋角度と立脚中期の内旋ピーク値の差が健側よりもむしろ大きかったためと考えられる.半月板は回旋に関するSecondary Restraintと考えられており,その破綻のために立脚中期における膝関節への荷重が均等に分散できず脛骨の回旋運動が過度に生じたと推察される.そのため,ACL損傷患者における膝関節の安定性に起因する脛骨の回旋運動は,ACL損傷のみでなく半月板損傷による影響も大きいと考えられる.
    【理学療法学研究としての意義】
    本研究により,ACL再建後の歩行時も,半月板損傷を伴う場合は,脛骨の内旋運動を過度に誘発し,再建靭帯への過度の伸張もしくは将来的な変形性関節症の発生などの悪影響が生じることが推測される.そのためにACL損傷患者の理学療法では,ACLの状態のみならず半月板損傷の影響も考慮する必要性が示唆された.
  • 砂田 尚架, 櫻井 愛子, 工藤 優, 原藤 健吾, 福井 康之, 飯田 智絵, 大谷 俊郎
    理学療法学Supplement
    2011年 2010 巻 OF2-073
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/26
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    スポーツ医学の発展に伴い,手術前後のリハビリテーションが重要視され進歩したことによりハイレベルでのスポーツ復帰も可能となり,前十字靭帯(ACL)損傷患者においてもリハビリテーションの有効性が多くの研究で示されている。ACL損傷に対し,臨床現場で取り入れられているエクササイズの一つにスクワット動作がある。スクワット動作は, ACL再建術後早期からでも安全性が高く,効率的な筋収縮に有効であるとされるClosed Kinetic Chain exerciseの一つである。また患側,健側同時に関節運動が起こるため,関節運動と荷重負荷における患側,健側の対称性を獲得するためのエクササイズとしても有効である。そこで本研究ではスクワット動作を用いて,ACL損傷患者の患側膝と健側膝の対称性について,関節運動と荷重量の両側面から比較検討することを目的とした。
    【方法】
    対象はACL損傷患者5名(平均年齢22.8±4.3歳,男性1名・女性4名)とした。ACL損傷の受傷から評価までの期間は,3.1±2.1ヶ月であった。
    計測は,体表に赤外線反射マーカー36点を貼付し,三次元動作解析システムVICON MX(カメラ10台),床反力計(AMTI,6枚)を用いて行った。計測動作は,両下肢を腰幅に開き,体幹20°前傾を保持した状態で膝関節60°まで屈曲したあとに伸展させるスクワット動作とし,5回連続行った。なお,体幹前傾角度,膝関節屈曲角度はゴニオメーターにて決定し,数回練習を行なってから計測した。計測したマーカー位置からAndriacchiらの開発した方法(Point Cluster Technique)を用いて膝関節屈伸,内外反,内外旋偏移を計算し,静止立位角度により補正した。体幹前傾位でのスクワット動作において,ACL損傷患者の患側膝と健側膝の膝関節屈伸,内外反,内外旋角度の最小値と最大値から変化量を算出して比較した。統計学的解析には,t検定(paired-t)を用いた。また,患側膝と健側膝における各々の角度変化量の患健比も算出し,同時に,スクワット最大屈曲時の患側膝と健側膝における荷重量(N)を床反力計から求め患健比を算出した。
    【説明と同意】
    本研究は,
    国際医療福祉大学三田病院
    倫理委員会の承認を得,対象者に口頭と文書にて説明を行い,研究の参加に対する同意を得て行なった。
    【結果】
    患側,健側膝関節の屈伸,内外反,内外旋変化量を比較した結果,全ての変化量において統計学的有意差は認められなかった。しかし,患側は健側よりも屈曲角度を小さくする傾向にあった(患側64.1±19.7度,健側70.3±15.6度,p=0.06)。また,荷重量においても患側と健側の統計学的有意差は認められなかったが,5例を個々に比較検討したところ,健側に対する患側の荷重量が100%以上の症例が2例,100%未満の症例が3例であった。また,健側に対する患側の荷重量が100%以上の2例では患側の膝関節外反・内旋変化量が小さい傾向にあり,100%未満の3例では患側の膝関節外反・内旋変化量が大きい傾向を示した。
    【考察】
    ACL損傷による膝関節の不安定性を防止するための代償運動として,歩行では膝関節の屈伸変化量を小さくして歩行するというstiffening strategyがよく知られている。今回課題とした,両側同時に対称的な動きが生じるスクワット動作においても,患側の膝関節をなるべく屈曲せずに運動する傾向が示されると推察した。しかし,今回の結果より,膝関節の動的不安定性を制御する戦略として,患側へ荷重をかけて膝関節外反,内旋変化を小さくし,関節の安定性を確保するパターンと,患側の膝関節外反,内旋変化は大きいが荷重負荷を逃避するパターンとの2つの代償動作がある可能性が示唆された。
    【理学療法学研究としての意義】
    スポーツ復帰を視野にいれたACL損傷患者の理学療法を行うためには,代償動作を抑制し,対称性の高い動作の獲得を図ることが重要である。
    本研究結果から,ACL損傷の代償動作として角度変化と荷重量の両方の関係性が示唆された。臨床での術後理学療法において,膝関節の運動角度のみではなく,荷重量も考慮して,代償動作を抑制していくことが重要である。
  • 前十字靭帯(ACL)損傷側,非損傷側,健常者による比較
    櫻井 愛子, 原藤 健吾, 工藤 優, 砂田 尚架, 飯田 智絵, 福井 康之, 大谷 俊郎
    理学療法学Supplement
    2011年 2010 巻 OF1-070
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/26
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    非接触型の膝前十字靭帯(ACL)損傷は,急激な方向転換や着地動作時に,膝関節軽度屈曲・外反,足部外転位(Knee-In,Toe-Out)で生じることが多いと報告されている.一方,MRIを用いて骨挫傷位置から受傷肢位を推定する研究では,膝関節が軽度屈曲・外反位で,脛骨が内旋・前方偏位することによって生じると報告されており,ACL損傷の受傷時のkinematicsに関しては議論が続けられている.しかし,Knee-In,Toe-Outは受傷時の下肢アライメント,骨挫傷位置からの報告は受傷後の結果であり,下肢アライメントと運動中における脛骨の動きとの関連性は明らかにされていない.そこで本研究では,骨運動との整合性が高いPoint Cluster Technique(PCT)を使用し,足部の位置が運動時における脛骨の動きに与える影響を明らかにすること,ACL損傷による脛骨の動きの変化を示すことを目的とした.
    【方法】
    対象は,ACL損傷患者5名(平均年齢22.8±4.3歳,男性1名・女性4名,受傷からの期間3.1±2.1ヶ月),健常者5名(平均年齢24.8±2.0歳,男性2名・女性3名)であった.
    計測は,体表に赤外線反射マーカー36点を貼付し,三次元動作解析システムVICON MX(カメラ10台)を用いて行った.計測動作は,ACL損傷患者でも安全に患側肢へ荷重可能な前後方向スケーティング動作とし,体幹を30度前傾させながら,膝関節60度まで屈曲した後,完全伸展させるよう指示した.足部の位置は,中間位(Toe-N),20度内転位(Toe-In),20度外転位(Toe-Out)の3条件とした.計測したマーカー位置よりAndriacchiらのPCTを用いて膝関節屈曲伸展,内外反,内外旋角度,前後方向偏位を計算し,静止立位角度により補正した.膝関節角度,偏位量の開始値とピーク値から変化量を算出し,ACL損傷側,非損傷側,健常者のToe-N,Toe-In,Toe-Outの条件下における比較を行った.統計学的解析にはANOVA,Post hocとしてSNK testを用い,p<0.05を有意差ありとした.
    【説明と同意】
    本研究は,
    国際医療福祉大学三田病院
    倫理委員会の承認を得,対象者に口頭と文書にて説明を行い,同意を得て行った.
    【結果】
    Toe-In,Toe-N,Toe-Outの各条件における膝関節変化量の値を,ACL損傷側,非損傷側,健常者群内で比較した結果,全群ともにToe-InよりもToe-Outで有意に外反変化量,内旋変化量が大きかった.屈伸,前後方向偏位量は,各条件による有意差は認められなかった.
    ACL損傷側,非損傷側,健常者の各群間における膝関節変化量の値を,各条件内において比較した結果,Toe-In,Toe-OutでACL損傷側が非損傷側より有意に屈曲変化量が小さかった(Toe-In;損傷側46.5±16.6°/非損傷側64.7±14.6°,Toe-Out:損傷側47.5±14.9°/非損傷側68.2 ±13.8°).
    【考察】
    非接触型のACL損傷時では,Knee-In,Toe-Outで脛骨が外旋位となっていることが多いと報告されている.本研究では,Toe-Outで脛骨が外旋すると,膝関節が外反し,内旋変化量が増大するという結果を示した.膝関節外反位では,屈曲に伴い大腿骨後外側顆部に圧縮力が加わり,前方への剪断力が生じることにより,脛骨が前方・内旋方向へ押し出されると考えられる.スケーティング動作はHigh Demanding Activityではないが,この結果はKnee-In,Toe-OutがACL損傷の危険肢位であること,脛骨の内旋変化量の増大がACL損傷の危険因子であるという仮説を支持するものであり,Toe-Outは他の足部位置と比較してACLに過負荷な肢位であることが示唆された.
    ACLの機能解剖学的特性として,膝関節外反に伴う内旋と前方偏位を制動する役割があると考えると,ACL損傷側で内旋・前方偏位量が増大することが予測されたが,内旋・外反変化量,前後方向偏位量ともに有意差が見られなかった.しかし,屈曲変化量が非損傷側と比較し有意に小さかったことから,ACL損傷による内旋変化量を増大させないため,屈曲角度そのものを小さくするという代償的な戦略がとられていたことが予測される.
    【理学療法学研究としての意義】
    Closed Kinetic Chain Exerciseは,再建靭帯への伸張ストレスが小さい安全な動作とされているが,下肢アライメントにより運動中の脛骨の変化量に差が生じることが明らかになった.術後早期の訓練ではアライメントに考慮し行う必要性が示唆された.
  • 飯田 智絵, 原藤 健吾, 櫻井 愛子, 工藤 優, 砂田 尚架, 福井 康之, 大谷 俊郎
    理学療法学Supplement
    2011年 2010 巻 PI2-275
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/26
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    Screw Home Movement(SHM)とは,膝関節が屈曲位から伸展するに伴い外旋し,終末期で受動的な外旋運動が大きく起こる運動である.SHMは,健常者の膝関節に共通して起こる現象として認識されてきたが.近年,動作解析システムの発展,実際の骨運動と整合性の高いPoint Cluster Technique(PCT) の開発により,健常者の中でも内旋型や終末内旋型があることが報告されている.SHMは,靱帯・骨の形状が関与していると推察されており,膝前十字靱帯もその一因である可能性が高い.今回我々は,ACL損傷膝,非損傷膝,健常膝のOpen Kinetic Chain Exercise (OKC)における回旋パターンと膝関節伸展角度,回旋角度変化量の関係を検討することにより,ACL損傷によるSHMの特徴を示すことを目的とした.
    【方法】
    対象は,ACL損傷患者5名10膝(平均年齢22.8±4.3歳,男性1名・女性4名,受傷からの期間3.1±2.1ヶ月),健常者5名10膝(平均年齢24.8±2.0歳,男性2名・女性3名)であった.被検者にはGarter-Wilkinsonの方法に従ってJoint Laxityテストを行い,5項目の検査のうち3項目が一致する者を陽性とした.
    計測は,体表に赤外線反射マーカー36点を貼付し,三次元動作解析装置VICON MX(カメラ10台)を用いた.膝関節伸展運動は,端座位で股関節,膝関節90°屈曲位から最大伸展を目標とした.計測したマーカーの位置からAndriacchiらのPCTを用いて,膝関節屈曲伸展,前後方向偏位,回旋角度を算出し,伸展開始角度69°の値で補正した後,ACL損傷膝,非損傷膝,健常膝の3群間で比較を行った.統計学的解析にはANOVAを用いた.
    また,伸展に伴い内旋し終末期に最大内旋の値を示す内旋型,伸展の中間期に最大外旋の値を示しその後内旋していく終末内旋型,終末期に最大外旋の値を示す外旋型にパターン分類し,それぞれの膝がどのパターンに属するかを検討した.
    【説明と同意】
    国際医療福祉大学三田病院
    倫理委員会の承認を得て,対象者に口頭と文書にて説明を行い,研究の参加に対する同意を得て行った.
    【結果】
    ACL損傷膝,非損傷膝,健常膝で比較した結果,膝関節屈曲伸展の際の回旋変化量(平均値,標準偏差)は,ACL損傷膝5.3±1.2°,非損傷膝8.5±5.6°,健常膝7.4±5.3°,であり,統計学的有意差は認められなかった.パターン分類の結果は,内旋型6膝(ACL損傷膝1,非損傷膝1,健常膝4),終末内旋型6膝(ACL損傷膝2,非損傷膝1,健常膝3),外旋型8膝(ACL損傷膝2,非損傷膝3,健常膝3)であった.Joint Laxity陽性者は,ACL損傷膝で内旋型1膝,終末内旋型2膝,健常膝で外旋型1膝であった.
    【考察】
    健常者の膝関節は,屈曲位から伸展するに伴い外旋し,終末期で受動的な外旋運動が大きくなるSHMが起こるとされている.しかし,健常者の中でも内旋型や終末内旋型があることが石井らにより報告されている.今回の結果からも,これまでの報告と同様に健常者でもやはりSHMの見られない膝が数多く存在することが判明した.
    今回我々は,ACL損傷膝では脛骨内旋による制動が生じず,内旋が過剰になることが予測されるため,ACL損傷膝は内旋型・終末内旋型をとらないのではないかと推測したが,ACL損傷膝の中でも内旋型1例,終末内旋型2例が認められた.しかし,内旋型1例と終末内旋型2例において,非損傷膝に対するACL損傷膝の最大伸展角度差,回旋角度変化量差を見ると,ACL損傷膝を伸展しない,もしくは回旋角度変化量を少なくする傾向が認められた.これは,膝関節伸展に伴う内旋を制限するための代償運動である可能性が示唆された.更に,ACL損傷患者の中でも内旋型1例,終末内旋型2例,外旋型2例とその傾向は一様でなかった.本研究の結果からは,ACL自体はSHMに直接関与していない可能性が示唆された.また,石井らの報告では,終末内旋型ではjoint laxityの強いものが多かったと報告されているが,joint laxity陽性者は,ACL損傷膝で内旋型1膝,終末内旋型2膝,健常膝で外旋型1膝と一様ではなかった.健常者における回旋パターンや角度変化量とjoint laxityでも関連性が見られなかったため,今後は,被験者数を増やし,回旋パターンに関与するjoint laxity以外の要因も検討していく必要がある.
    【理学療法学研究としての意義】
    今回の結果では,ACL損傷患者のSHMパターンは損傷側,非損傷側ともに健常者と同様に一様でなく,ACLに過負荷が生じるかどうかは不明であった.今後術後患者に関しても検討を重ね,OKC Exの開始可能時期を明らかにしていく必要があると考えられた.
  • 杉浦 芳章
    日本血管外科学会雑誌
    2008年 17 巻 1 号 17_1_i-17_1_ii
    発行日: 2008/10/25
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル オープンアクセス
  • ―周術期運動機能変化および手術後Quality of Lifeとの関連性―
    原 毅, 佐野 充広, 四宮 美穂, 市村 駿介, 中野 徹, 松澤 克, 石井 貴弥, 松本 恭平, 吉田 智香子, 櫻井 愛子, 草野 修輔, 久保 晃
    理学療法学Supplement
    2014年 2013 巻 0532
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】昨今がん生存者は,がん医療の発展により増加傾向にある。この変化に伴いわが国では,がん患者リハビリテーション(以下リハ)料が新設され,対象疾患の8項目中5項目が周術期がん患者に定めている。しかしリハ分野では,周術期がんリハ関連の報告が少なく,早急に検討すべき課題と考える。消化器がん患者の手術前の腹部骨格筋断面積(以下筋断面積)に着目した研究は,国外より報告されている。手術前筋断面積が少ない患者は,他の患者と比較して手術後合併症の発症リスクが高く,積極的治療後の高再発率,低生存率が明らかとなっている。リハ分野においても消化器がん患者の骨格筋量など体格は,臨床現場で手術後経過を推測する一指標として重要視しているが,双方の関連性など客観的に検討した報告はない。そこで本研究では,消化器がん患者の手術前筋断面積と周術期運動機能変化,手術後Quality of Life(以下QOL)の関連性について予備的に検討した。【方法】対象は,手術前運動機能および認知機能障害が認められず日常生活が自立し,手術後経過が良好で自宅退院された周術期消化器がん患者33例(男性20例,女性13例,平均年齢62.1±11.6歳)とした。対象者の手術部位は,胃9例,肝臓11例,膵臓1例,結腸7例,直腸5例であった。筋断面積計測には,手術前に主疾患の確定診断目的で撮影された腹部CT画像を使用した。腹部CT画像は,最も左右横突起がクリアに写るL3レベルの画像を採用した。筋断面積の計測には,ImageJ1.47を使用した。計測された筋断面積は,「筋断面積(mm2)/身長2(m2)」の式に挿入し,正規化した。運動機能評価には,6分間歩行距離(以下6MD)を使用した。6MDの測定動作は,対象者に勾配のない50mの歩行路を最大努力下で可能な限り往復することとした。検査者は,対象者の後方から歩行距離測定器(セキスイ樹脂,SDM-1)を用いて追跡し,歩行距離(m)を計測した。計測時期は,手術日より1日以上前の時期(以下手術前),手術後10前後経過した時期(以下術後10),手術後28日前後経過した時期(以下術後28)の3つの時期としたQOL評価には,Short-Form 36-Item Health Survey version 2のアキュート版(以下SF36)を使用した。SF36は,術後28の時期に自己記入式の質問用紙を対象者に記入してもらい,認定NPO法人健康評価研究機構iHope Internationalが推奨しているSF36v2TM日本語版スコアリングプログラムを使用して得点化した。QOL評価値には,算出された8つの下位尺度得点を採用した。統計学的処理では,まず反復測定一元配置分散分析と多重比較検定(Bonferroni法)を使用し,各計測時期間の6MDの差について比較した。手術前筋断面積と周術期運動機能変化の関係には,予め多重比較検定の結果より有意差が認められた計測時期間の6MDのみ「後計測時期の6MD/前計測時期の6MD×100%」の式に挿入して6MD変化比(%)を算出し,Pearsonの積率相関係数を用い,筋断面積と6MD変化比の相関を検討した。手術前筋断面積と手術後QOLの関係には,Spearman順位相関係数を用い,筋断面積と術後28の各下位尺度得点の相関を検討した。有意水準は,全て5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,
    国際医療福祉大学三田病院
    倫理委員会の承認を受けて実施した。【結果】6MDは,計測時期要因に有意な主効果が認められ,多重比較検定の結果より手術前と術後10(6MD変化比:89.4±15.4%),術後10と術後28(6MD変化比:111.9±19.2%)に有意差が認められた。また,筋断面積は,手術前と術後10の6MD変化比のみ有意な相関関係(r=0.350)が認められた。【考察】周術期消化器がん患者は,手術治療に伴い免疫機能が活性化し,エネルギー源として骨格筋内で蛋白異化が発生する。この蛋白異化は,手術侵襲の大きさと関連することが報告されている。本研究の対象者は,全例手術治療を受けており,手術後骨格筋に蛋白異化が発生することが推察され,手術後一時的な運動機能低下が起きた可能性がある 先行研究より手術前筋断面積は,周術期消化器がん患者の手術後合併症の発症リスクと関連することが報告され,手術侵襲に対する予備力の指標として可能性が示唆されている。本研究の結果より手術前筋断面積は,手術後一時的に起こる運動機能低下に対する予備力の指標としても関連する可能性が示唆される。一方で積極的治療を終えた消化器がん患者の自覚的健康感には,手術前筋断面積のみではなく他の要因が関連する可能性が示唆される。【理学療法学研究としての意義】消化器がん患者の手術前筋断面積は,周術期運動機能変化に関連することが明らかとなり,周術期がんリハ実施に際し把握すべき一情報と考える。今後は,さらに対象者増加,層別化し,より一層検討が必要と考える。
  • 工藤 優, 櫻井 愛子, 原藤 健吾, 飯田 智絵, 砂田 尚架, 増本 項, 福井 康之, 大谷 俊郎
    理学療法学Supplement
    2013年 2012 巻 C-S-04
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】 ACL損傷例の歩行で,膝関節屈曲伸展を抑制し不安定性を防止するStiffening Strategyが知られている.我々はStiffening Strategyが,矢状面のみでなく,水平面での脛骨回旋運動にも作用すると予測したが,半月板損傷を伴うACL損傷例では,脛骨内旋運動がむしろ大きい傾向にあった.そのため,ACL損傷例の脛骨回旋運動は,ACLのみでなく半月板損傷による影響も大きいと推察した. 半月板は脛骨回旋に関する二次的な制動を果たすとされている.半月板切除術後において,膝関節機能が低下することが指摘されており,脛骨回旋制動も低下することが予測される. そこで,今回,半月板損傷の有無がACL再建術後の歩行においても影響を与えるのではないかと考え,ACL単独再建群(ACL群)とACL再建に半月板部分切除を伴う群(M+ACL群)の歩行時の膝関節屈曲伸展運動と脛骨回旋運動を比較し,ACL再建術に伴う半月板部分切除の有無が歩行に与える影響について明らかにすることを目的とした.【方法】 ACL群4名4膝(年齢27.0±10.6歳,女性4名),M+ACL群4名4膝(年齢19.0±5.4歳,男性3名・女性1名),コントロール群として健常者4名8膝(年齢23.0±1.4歳,男性2名・女性2名)を対象とした.計測は,体表に反射マーカー36点を貼付し,三次元動作解析システムVICON MXを用いて行った.計測前に数回の練習を行った後,自由速度の歩行を3回施行した.計測したマーカー位置よりAndriacchiらのPCTを用いて膝関節屈曲伸展角度,脛骨内外旋角度を計算し,静止立位角度により補正した.屈曲伸展角度に関しては,立脚初期から中期における屈曲ピーク値と立脚期中期の伸展ピーク値の差を算出し,屈伸変化量とした.脛骨内外旋角度に関しては,踵接地時の内旋角度と立脚中期の内旋ピーク値の差を算出し,内旋変化量とした.術前,術後1カ月,術後3カ月のACL群,M+ACL群とコントロール群の屈伸変化量,内旋変化量を比較した.統計学的解析にはKruskal Wallis H-testを用いた(p<0.05).【倫理的配慮、説明と同意】 
    国際医療福祉大学三田病院
    倫理委員会の承認を受け,対象者に充分な説明を行い,同意を得て実施した.【結果】 屈伸変化量は,術前後ともにACL群(術前;11.3±5.2度,術後1カ月;8.5±5.0度,術後3カ月;7.3±3.0度),M+ACL群(術前;12.6±8.1度,術後1カ月;10.6±9.1度,術後3カ月;13.2±3.9度)がコントロール群(19.3±6.0度)と比較し有意に小さかった(p<0.05).  内旋変化量は,術前後ともにM+ACL群(術前;16.5±3.4度,術後1カ月;16.2±4.2度,術後3カ月;15.2±2.1度)が ACL群(術前;10.1±1.6度,術後1カ月;11.3±2.4度,術後3カ月;10.2±1.7度), コントロール群(9.8±3.3度)と比較し有意に大きかった(p<0.05).【考察】 本研究では,ACL群,M+ACL群は術前後とも屈伸変化量が小さい傾向を認めた.術前のACL損傷例の歩行では,Stiffening Strategyをとることが知られているが,今回,術後の大腿四頭筋の筋萎縮による筋力低下やACLへの過度のストレスに対する逃避行動として,術後にもStiffening Strategyが継続したのではないかと考えられる. また,M+ACL群は術前後ともACL群,コントロール群より脛骨内旋変化量が大きい傾向を認めた.半月板は衝撃吸収や荷重分散,膝関節安定性などの機能があげられるが,半月板切除後には,その機能が十分に果たせなくなることが考えられる.そのため,ACL群ではACLの再建により脛骨回旋運動を抑制することができたが,M+ACL群では脛骨内旋運動を制動する機能が低下し,脛骨内旋変化量が大きかったと考える.樋口らは半月板切除術後,良好な臨床成績が示されたが,長期経過では変形性膝関節症が進行すると報告している.本研究において,M+ACL群の脛骨内旋運動が大きい傾向にあったことは,短期的な膝関節不安定性だけでなく,長期的な変形性膝関節症への考慮もM+ACL群では重要であることを示唆している. 一方,Loganらは若く,活動性の高いhigh-demandな症例では積極的に半月板縫合術を行うべきと報告している.しかし,半月板縫合術では切除術に比較し,運動復帰に長期間を要することや縫合後の再損傷などの問題点があげられる.本研究では,ACL単独損傷群とACL再建に半月板部分切除を伴う群との比較であったため,今後,半月板縫合例との比較が重要となってくると考えられる. また,長谷川らはACL再建術後3カ月では筋力低下や動作に対する不安により安定した歩行状態ではなく,術後12カ月以降でより典型的な術後変化を示すと報告している.そのため,今後はACL再建術後の歩行を経時的に検討していく必要性があると考える.【理学療法学研究としての意義】 脛骨の過度な内旋運動は,再建靭帯の過緊張や将来的な変形性膝関節症のリスクにもつながるため,今後も経時的に分析を進め,靱帯再建後の理学療法へつなげていく.
  • 原 毅, 櫻井 愛子, 佐野 充広, 四宮 美穂, 野中 綾乃, 中野 徹, 松澤 克, 草野 修輔, 久保 晃
    理学療法学Supplement
    2012年 2011 巻
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】 近年がん生存率は、早期かつ適切な診断や治療技術の進歩などがん医療の発展により、世界的に増加傾向にある。がん生存者が増加する一方で、がん生存者の生活の質(Quality Of Life;以下QOL)の維持など退院後の生活状況が重要視され始めている。現在までにがん患者のQOL向上を目的に運動介入した縦断的研究は、主に国外より報告され効果が証明されている。一方国内では、がん患者の身体運動機能に関する報告は少なく、日本のがんリハビリテーション発展のためにも早急に検討すべき課題と考える。そこで本研究では、周術期消化器がん患者を対象に手術前から退院後にかけて身体運動機能測定とQOL評価を実施し、得られた各測定値の経時的変化や手術前から退院後のQOL変化と各測定時期の身体運動機能測定値の関係について予備的に検討することを目的とした。【方法】 対象者は、手術前に身体運動、認知機能に障害を認めず日常生活が自立し、手術後経過良好であった周術期消化器がん患者28名(男性16名、女性12名、平均年齢59.0±10.8歳)とした。対象者の手術部位は胃8名、結腸10名、直腸5名、肝臓5名であり、平均在位日数は15.0±3.3日であった。身体運動機能測定とQOL評価は、手術前(-1.6±0.9POD)、手術後(9.4±1.1日POD)、退院後(26.6±3.9POD)の3つの時期に実施した。身体運動機能測定は、等尺性膝伸展筋力(以下KEM)、閉眼片脚立位時間(以下OLS)、Timed“Up and Go”test(以下TUG)、6分間歩行距離(以下6MD)の4項目とした。KEMは、ハンドヘルドダイナモメーターを使用し、ベルト固定法で2回行い最大値(kgf)を体重で正規化(%)した。OLSは、測定姿勢を任意とし、閉眼での片脚立位姿勢の保持時間を最大値60secで1回測定(sec)した。TUGは、高さ40cmの椅子に着座した状態から3m先の目標物を回って再度着座するまでの時間を最大速度で2回行い、最小値を測定値(sec)とした。6MDは、 6分間可能な限り歩行できる距離(m)を歩行用距離測定器で1回測定した。QOL評価には、SF-36v2アキュート版を使用し、対象者の健康関連QOLを評価した。対象者は、手術前から退院後のSF-36各下位尺度の変化から維持・向上群、低下群2水準に各々分類した。統計学的処理は、Wilcoxonの符号付き順位和検定で得られた身体運動機能およびSF-36各下位尺度の各測定値を手術前と手術後(以下A)、手術後と退院後(以下B)、手術前と退院後(以下C)の3つの組み合わせで比較した。また、Mann-WhitneyのU検定で各測定時期の身体運動機能測定値を各下位尺度変化の群間で比較した。有意水準は、全て5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は
    国際医療福祉大学三田病院
    倫理委員会に承認され(承認番号H23-05)、対象者に本研究の主旨を説明し同意を得た。【結果】 各測定値の経時的変化(手術前、手術後、退院後の各測定値を中央値で記載)は、身体運動機能ではKEM50.8%、44.7%、49.5%、OLS4.31sec、4.39sec、6.15sec、TUG5.32sec、5.50sec、5.38sec、6MD493.3m、439.5m、479.2mであり、SF-36下位尺度では身体機能(以下PF)90.0、80.0、85.0、日常役割機能(身体)(以下RP)93.7、43.8、65.7、体の痛み(以下BP)100.0、43.0、74.0、全体的健康感(以下GH)56.0、61.0、62.0、活力(以下VT)68.8、59.4、68.8、社会生活機能(以下SF)81.3、62.5、75.0、日常役割機能(精神)(以下RE)91.7、75.0、75.0、心の健康(以下MH)75.0、65.0、80.0であった。Wilcoxonの符号付き順位和検定の結果から身体運動機能はKEMのAとB、TUGのAとB、6MDのAとBに有意差を認め、SF-36下位尺度ではPFのAとBとC、RPのAとBとC、BPのAとBとC、VTのAとB、SFのAとB、REのAとC、MHのBに有意差を認めた。また、Mann-WhitneyのU検定の結果より、VT群間で手術前6MD(VT維持・改善群440.3m、VT低下群503.5m)、MH群間でKEM(MH維持・改善群57.7%、MH低下群39.0%)に有意差を認めた(各測定値は中央値で記載)。【考察】 手術前から手術後において身体運動機能は、KEM、TUG、6MDが有意な低下を認め、SF-36下位尺度では、GHとMH以外の下位尺度が有意な低下を認めた。退院後において身体運動機能は、手術前とほぼ同等まで改善を認め、SF-36下位尺度では、全ての尺度に維持・改善を認めたが、PF、RP、BP、REに手術前と比較し有意な低下を認めた。積極的な外科的治療終了され自宅復帰した消化器がん患者は、身体運動機能が手術前と同等まで改善を認める一方で、身体運動機能やADLに関連するQOLが手術前より有意に低下していることが明らかとなった。また、手術前から自宅復帰後にかけての消化器がん患者のQOL変化には、手術前の身体運動機能が関連している可能性を示唆した。【理学療法学研究としての意義】 本研究により、周術期から自宅復帰後における消化器がん患者の身体運動機能とQOL変化の特徴および関係性が明らかとなり、日本のがんリハビリテーション発展の一助となると考える。
  • 飯田 智絵, 櫻井 愛子, 原藤 健吾, 工藤 優, 砂田 尚架, 増本 項, 福井 康之, 大谷 俊郎
    理学療法学Supplement
    2012年 2011 巻
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】 前十字靭帯(ACL)損傷膝のOpen Kinetic Chain exercise(OKC ex)における膝関節動態は,様々な計測機器を用いて検証されているが,Point Cluster Technique (PCT)を用いた報告は少ない.我々は,第46回日本理学療法学術大会において,ACL損傷膝,非損傷膝,健常膝の回旋変化量と回旋パターンを検討したが,ACL損傷患者のScrew Home Movement (SHM)のパターンや回旋変化量は,ACL損傷膝,非損傷膝ともに健常膝と同様に一様でないと報告した.しかし被験者数が少なく,比較検討を行うには不十分であった.今回詳細を比較するため,被験者を増やし再検討したため報告する.【方法】 対象は,ACL損傷患者12名,ACL損傷膝12膝・非損傷膝11膝(平均年齢22.5±7.4歳,男性5名・女性7名,受傷からの期間4.6±4.5ヶ月),健常者12名12膝(平均年齢22.7±2.1歳,男性8名・女性4名)とした.計測は,体表に赤外線反射マーカー36点を貼付し,三次元動作解析装置VICON MX(カメラ10台)を用いた.膝関節伸展運動は,端座位で股関節,膝関節90°屈曲位から最大伸展を目標とした.計測したマーカーの位置からAndriacchiらのPCTを用いて,膝関節屈曲伸展,前後方向偏位,回旋角度を算出し, 膝関節屈曲78°を伸展開始角度とした.各々の最大値と最小値から変化量を算出しACL損傷膝,非損傷膝,健常膝の3群間で比較を行った.統計学的検定にはANOVAを用いた(p<0.05). また,伸展に伴い内旋し終末期に最大内旋の値を示す内旋型,伸展の中間期に最大外旋の値を示しその後内旋していく終末内旋型,終末期に最大外旋の値を示す外旋型にパターン分類した.【倫理的配慮、説明と同意】 
    国際医療福祉大学三田病院
    倫理委員会の承認を得て,対象者に口頭と文書にて説明を行い,研究の参加に対する同意を得て行った.【結果】 ACL損傷膝,非損傷膝,健常膝で比較した結果,膝関節屈曲から伸展での屈伸変化量はACL損傷膝68.5±13.2°非損傷膝74.7±7.6°健常膝71.0±7.4°,回旋変化量は,ACL損傷膝10.4±6.4°非損傷膝11.0±7.0°健常膝8.8±3.1°であった.前後方向偏位量はACL損傷膝1.7±1.0mm非損傷膝1.7±0.9mm健常膝1.6±1.0mmであり,屈伸変化量,回旋変化量,前後方向偏位量の全てに統計学的有意差は認められなかった.パターン分類の結果は,内旋型15膝(ACL損傷膝6,非損傷膝4,健常膝5),終末内旋型7膝(ACL損傷膝3,非損傷膝3,健常膝1),外旋型13膝(ACL損傷膝3,非損傷膝4,健常膝6)であった.【考察】 前回我々は,ACL損傷膝では脛骨内旋による制動が生じず,内旋が過剰になることが予測されるため,ACL損傷膝は内旋型・終末内旋型をとならないのではないかと推測した.その結果,ACL損傷膝では内旋型1例,終末内旋型2例,外旋型2例とその傾向は一様でなかった.また,回旋変化量に関しては,内旋型1例と終末内旋型2例において,非損傷膝に対するACL損傷膝の最大伸展角度差,回旋変化量差を見ると,ACL損傷膝を伸展しない,もしくは回旋角度変化量を少なくする傾向が認められたと報告した. 今回の結果では,回旋パターンがACL損傷患者,健常者ともに外旋型13膝,終末内旋型7膝,内旋型15膝と一様ではなく,ACL損傷膝,非損傷膝の比較でもパターンの変化は認められなかった.伸展変化量に有意差は認められなかったが,ACL損傷膝の内旋型6例と終末内旋型3例において,非損傷膝と比較し完全伸展しない,もしくは回旋変化量を少なくする例が7例認められ,膝関節伸展に伴う内旋を制限するための代償運動である可能性が示唆された.完全伸展し回旋変化量が大きかった2例は,受傷からの期間が約1年半の陳旧例か,再断裂例であった.また回旋変化量,前後方向偏位量もACL損傷膝,非損傷膝ともに有意差はなかったことから,ACL自体はSHMに関与せず,その有無は抗重力下での膝の自動屈伸運動における回旋角度や前後方向偏位には関与しないことが考えられる. 今回の結果から,ACLの有無に関わらず回旋パターンや回旋変化量は様々であり,なぜそのような動態をするかは不明であった.しかし,各膝によって異なる回旋パターンや回旋変化量となることは,ROM exを行う上で注意しなければならない.【理学療法学研究としての意義】 今回の結果から,膝関節のROM exを行う際は回旋パターンやどの程度の回旋角度で誘導するかに注意しなければならない.OKC exにおける回旋角度,回旋パターンや前後偏位はACL損傷膝,非損傷膝に違いは認められなかったが,術後再建靭帯への負荷量を考慮にいれ,安全な角度を検討していく必要がある.
  • 工藤 賢治, 山本 澄子, 櫻井 愛子, 石渡 圭一, 畔柳 裕二
    理学療法学Supplement
    2012年 2011 巻
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】  変形性股関節症(変股症)は股関節の機能低下により歩容異常を呈することが多いが、股関節機能に対する治療だけでは歩容が十分改善しないことも少なくない。変股症はHip-Spine Syndrome(HSS)の代表的疾患でもあり、脊柱が股関節に影響を及ぼすこともあるため、股関節の影響を極力除去した脊柱機能を捉えることも重要と考える。しかし、HSSの評価は、X線画像を用いた静止立位の検証、すなわち股関節の影響も含めた脊柱のアライメント評価に留まることが多い。変股症の歩容は、一側下肢への荷重量が増大する時期の側方への過度な骨盤傾斜や体幹動揺やこれらの左右差が特徴的であり、変股症患者では前額面における脊柱の動きの制限や左右差の増大が予想される。本研究の目的は、股関節の影響の少ない座位での側方移動動作における腰椎アライメントについて変股症患者と健常者を比較検討することである。【方法】 対象は変股症患者3名(年齢64±8歳、日本整形外科学会X線病期分類:進行期2例、末期1例)と健常者10名(年齢26±3歳)とした。変股症患者は片側性に有痛症状があり、脊椎及び両下肢に手術の既往がないものとした。 X線撮影は整形外科医の指示のもと放射線技師により実施され、静止座位と側方移動時(患側・健側)の3条件における全脊柱を撮影した。撮影肢位は、椅子の上に設置した2台の体重計の境界線上に被験者の仙骨稜を位置させ、股関節内外転・内外旋中間位、股・膝・足関節90°屈曲位で撮影する静止座位、静止座位時の2つの体重計の合計値を基準に、片側の体重計がその80%となる位置まで側方移動する80%荷重位とした。側方移動については、できる限り骨盤を動かさず、胸郭を側方に平行移動するよう口頭指示した。 撮影したX線画像から、前額面における第1腰椎(L1)から第5腰椎(L5)及び仙骨底(S)の傾斜角度、Sの中点から立ち上げた垂直線から各椎体の中心までの側方距離を算出した。分析項目は、L1傾斜角度とS傾斜角度の差(腰椎側屈角)、L1とSの側方距離(腰椎変位量)、荷重側への傾斜角度が最大となる椎体の高さ(最大傾斜高)、変位量が最大となる椎体の高さ(最大変位高)の4項目とし、左右両側荷重位の平均値及び左右差について変股症群と健常群で比較検討した。椎体の高さはSから椎体までの鉛直方向距離とした。なお、距離因子は実測値を静止座位時のL1からSまでの鉛直方向距離で除した値で表した。統計処理にはMann-WhitneyU-testを使用した。【倫理的配慮、説明と同意】 計測に先立ち、全対象者に文書及び口頭にて研究の趣旨を説明し、同意書への署名をもって同意を得た。なお、本研究計画は国際医療福祉大学の倫理審査会の承認を得ている。【結果】 変股症群と健常群の比較において、左右両側荷重位の平均値は、腰椎側屈角に有意差はなく、腰椎変位量は有意に変股症群で小さかった(p=0.002)。最大傾斜高に有意差はなく、最大変位高は変股症群で有意に小さかった(p=0.001)。また、両群間の左右差は、腰椎側屈角及び腰椎変位量には有意差はなく、最大傾斜高及び最大変位高においては変股症群で有意に大きかった(p=0.006、0.007)。【考察】 今回の結果では、変股症群の腰椎変位量は健常群より有意に小さかった。今回の側方移動は骨盤を動かさないという制約があり、変股症群では骨盤固定位での腰椎の変位は困難であることが推察される。腰椎の側屈よりも変位による重心移動の方が上位の脊柱のアライメント変化は小さくなると考えられ、両側における腰椎変位量の減少は変股症の脊柱機能を捉える重要な因子になる可能性がある。また、最大変位高・傾斜高の左右差が変股症群で有意に大きかった。これは荷重反対側への動き、すなわち立ち直りが始まる椎体から骨盤までの距離の左右差の増大を表すと考えられ、側方移動時の骨盤の固定性に関与する腰椎機能の左右差を表している可能性がある。さらに、最大変位・傾斜高が必ずしも患側で高位(あるいは低位)になるとは限らなかった。このことよりこれらの左右差の増大は変股症患者の股関節ではなく腰椎機能の特徴を意味するとも解釈できる。以上から、座位側方移動時の腰椎アライメントから股関節機能とは別に腰椎自体の機能を表す因子を抽出できたと考える。【理学療法学研究としての意義】 HSSの観点から変股症患者の腰椎機能が股関節や歩容に影響することは多いと思われる。本研究により抽出された腰椎自体の機能と股関節機能や歩容との関係を検証することで、歩容改善のために股関節だけでなく、腰椎機能に対するアプローチの有用性を明らかにできる可能性があると考える。
  • 工藤 優, 櫻井 愛子, 原藤 健吾, 飯田 智絵, 砂田 尚架, 増本 項, 福井 康之, 大谷 俊郎
    理学療法学Supplement
    2012年 2011 巻
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/10
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    【目的】 前十字靭帯(ACL)損傷例の歩行動作において,膝関節の屈曲伸展を抑制し不安定性を防止するというStiffening Strategyが広く知られている.我々は第46回日本理学療法学術大会において,Stiffening Strategyが,矢状面での膝関節の屈曲伸展運動のみでなく,水平面での脛骨の回旋運動も小さくする傾向があるのではないかと予測し,Point Cluster Technique(PCT)を用いて,ACL損傷例の患側と健側の脛骨回旋運動を比較した.しかし,患健差は認められず,不安定性を伴う半月板損傷を合併したACL(M+ACL)損傷例において,患側の脛骨内旋運動が大きい傾向にあった.そのため,我々はACL損傷者における膝関節の安定性に起因する脛骨の回旋運動は,ACL損傷のみでなく半月板損傷による影響も大きいと推察した. そこで,今回,我々はPCTを用いて,ACL単独損傷例とM+ACL損傷例,健常者の歩行時の膝関節屈曲伸展運動と脛骨回旋運動を比較し,ACL損傷とACL損傷に合併した半月板損傷が歩行時の脛骨回旋運動に与える影響について明らかにすることを目的とした.【方法】 ACL単独損傷例6名(平均年齢19.3±4.2歳,男性1名・女性5名),M+ACL損傷例5名(平均年齢25.4±9.9歳,男性4名・女性1名),コントロール群として健常者3名6膝(平均年齢24.7±1.5歳,男性1名・女性2名)を対象とした.計測は,体表に赤外線反射マーカー36点を貼付し,三次元動作解析システムVICON MX(カメラ10台)を用いて行った.歩行計測に先立ち,各関節の標準化のために静止立位の測定を行い,測定前に数回の練習を行った後,自由速度の歩行を3回施行した.計測したマーカー位置よりAndriacchiらのPCT法を用いて膝関節屈曲伸展角度,脛骨内外旋角度を計算し,静止立位角度により補正した.屈曲に関しては,立脚初期から中期における屈曲ピーク値と立脚期中期の伸展ピーク値,内旋に関しては,踵接地(HC)時の内旋角度と立脚中期の内旋ピーク値を算出し,ACL単独損傷例,M+ACL損傷例,健常膝の比較をした.統計学的解析にはKruskal Wallis H-testを用い,P<0.05を有意差ありとした.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は,
    国際医療福祉大学三田病院
    倫理委員会の承認を得,対象者に口頭と文書にて説明を行い,研究の参加に対する同意を得て行った.【結果】 立脚初期から中期における屈曲ピーク値と立脚中期の伸展ピーク値の差は,ACL単独損傷では9.3±5.6度,M+ACL損傷では12.4±7.0度,健常膝では19.5度±5.6度であり,M+ACL損傷と健常膝,ACL単独損傷と健常膝で統計学的有意差を認めた(p<0.05).  HC時の内旋角度と立脚中期の内旋ピーク値の差は,ACL単独損傷では8.8±4.0度,M+ACL損傷では14.9±4.7度,健常膝では10.8度±2.0度であり,M+ACL損傷とACL単独損傷,M+ACLと健常膝で統計学的有意差を認めた(p<0.05).【考察】 ACL損傷者の歩行では,脛骨の前方移動や回旋に起因する膝関節不安定性を認めることが多く,膝関節伸展運動の逃避として,ハムストリングスの緊張を高め,膝関節の屈曲伸展運動を小さくするStiffening Strategyをとることが知られている.よって,ACLは脛骨の回旋運動への制動の役割を果たすとされているが,ACL損傷に合併する半月板の影響については明らかにされていないことが多い.半月板は,脛骨の回旋に関する二次的な制動の役割を果たすことが予測される. そのため,我々は,ACL単独損傷例が,歩行時に屈曲伸展角度を小さくするStiffening Strategyと同時に,立脚期の脛骨回旋運動を小さくし,膝関節の安定性を保っているのではないか,また, M+ACL損傷例では,半月板損傷の影響で立脚期の内旋角度が大きくなるのではないかと推察していた. 本研究ではACL単独損傷例,M+ACL損傷例において先行研究と同様に,歩行中の膝関節屈曲伸展を小さくするStiffening Strategy を認めた.また,M+ACL損傷例でACL単独損傷例や健常膝に対し脛骨内旋運動が大きい傾向を認め,ACL単独損傷例では健常膝に対し脛骨回旋運動の有意差を認めなかった.このことから,ACL単独損傷例では,歩行時に膝関節の屈曲伸展運動を小さくすることで,脛骨の回旋運動を抑制して膝関節の安定性を保つことができるが,不安定性を伴う半月板損傷を合併することにより,脛骨の内旋運動の制動が行えなくなることが予測される.【理学療法研究としての意義】 本研究から,M+ACL損傷では,脛骨の過度な内旋運動が再建靭帯の過緊張を引き起こすため,術後理学療法において,脛骨の回旋運動への考慮は重要と考えられる.また,脛骨の回旋運動は,将来的な変形性膝関節症のリスクにもつながり,ACL損傷に伴う半月板損傷の有無を考慮する必要性が示唆された.
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