末期癌患者の心理を樹木画から明らかにし, 性, 年齢, 罹患期間, 疼痛期間と同時に施行した文章完成法との関連を検討した.対象は千葉大学医学部付属病院麻酔科を受診した入院患者115名である.心理テストは初診から1週間以内, 痛みがコントロールできた時点で, 治療に参加した一定の医師が説明して理解, 同意を得た.樹木画は未熟な, 落ち着きのない, しっかりしない, 不自然, 不安定な,
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のない, サイズは普通, 2線幹, 幹は普通かやや細い.男性は女性に比べて曲がった, 親和でない, 硬く, 弱く, 1線幹を描く.若年者はしっかりした2線枝, 壮年者は不安定, 左傾向, 1線枝が増え, 老年者はやや不安定な1線枝を描く.疼痛が短期間であると, 真っ直ぐな, 左傾向の, 期間が長いと, 曲がった, 右傾向の樹木を描く.文章完成法から現状を深く考え, 肯定的回答の患者はしっかりしない, 不自然な, 未熟な樹木と
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を描く.否定的回答の患者はしっかりしない, 不自然な樹木を描き,
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を描かない.中立的回答患者はしっかりした, 成熟な, 自然の樹木を描き,
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を描かないことが多い.樹木画は患者のニーズを理解できるので, 心の援助方法に役立つ心理テストである.
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