本稿の目的は, 地方圏に所在するNGOによる「地域かちの国際協力」の可能性と問題点を検討し, NGO活動における「地域」の役割を明らかにすることである. また, それを通じて地方圏におけるNGO活動の可能性を探ることも意図している. 12団体のNGOに対するインタビュー調査の結果, NGOは, 遍在する資源あるいは固有の資源を活用し, 地域内および地域間の諸関係を通じて信頼やネットワークを構築することで, 国際協力活動を有効に機能させていることが示された. またこのような積極的な役割の一方で, 地方圏では支援者の規模の制約があることや,「地域からの国際協力」を実践することで生じる利害関係や正当性をめぐる問題点も指摘された. 本稿の分析を通じて, 国内の「地域」との有効な関係構築が, 特に地方圏でのNGO活動にとって重要な問題であることが明らかになった.
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