1)ウルシノキ及びヌルしデは乳液の滲出多きも,ハゼノキ,ヤマハゼノキ,ツタウルシ,及びヤマウルシは滲出量が極めて少し。日本産
Rhus屬樹種の中,ヌルデのみが最も粘靱性強く又最も凝固度が大なり。
2) ウルシノキの乳液は友白色,ヌルデ淡黄色其の他の樹種の乳液は概ね無色若くば褐色なり。
3) 護謨質は何れの樹種の乳液中にも存在し,顆粒状となる。比較的粘靱性大なるをもつて硝酸を酸類を作用せしむるにあらざれば顆粒をよく認め得ず。
4) 蛋白質は葉及び萠芽後の若き部分の切斷面より滲出する乳液中には結晶となりて存在するも,老莖より滲出するものは膠質状となりて存在す。
5) ウルシオール若くば其の類似物質はハゼノキ,ヤマハゼノキ,ウルシノキ,ツタウルシに多く,ヤマウルシに僅かヌルデには全くこれを有せず。
6) ラツカーゼはハゼノキ,ヤマハゼノキ,ウルシノキ,ツタウルシに多く,ヤマウルシはそれより稍々少く,ヌルデに於ては僅かなり。
7) 水分はハゼノキ,ヤマハゼノキ,ツタウルシ及びヤマウルシに比軸的多く,ウルシノキはこれに次ぎ,ヌルデは最も少量なり。
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