1995年4月以来, 心臓大血管手術術後の5症例に対し, 持続的血液濾過(CHF)を施行した. 施行手術は症例1.57歳男性: 冠状動脈バイパス術, 症例2.72歳男性: 僧房弁置換術+大動脈弁置換術+左房内血栓摘出術, 症例3.72歳女性: 大動脈弁置換術+上行大動脈置換術, 症例4.37歳男性: 上行大動脈置換術,症例5.37歳男性: 弓部下行大動脈置換術であり, 症例3, 4, 5は急性解離性動脈瘤に対する緊急手術であった. 症例1, 2, 3は術後急性腎不全を発症し, 症例4, 5は慢性腎不全のため腹膜透析中であった. 症例3をメシチリン耐性黄色ブドウ球菌敗血症による多臓器不全(MOF)で失ったが, 他の4例は救命しえた. 症例1と3は, 加療後血液浄化療法が不要となった. CHFは開心術後の重篤な患者にも安全に施行でき, 非常に有効であった. しかし敗血症を伴うMOFに対する血液浄化はエンドトキシン吸着療法などが必要と思われた.
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