多結晶
氷と単結晶氷とを摩擦する時,2本の氷の間(1本は接地)の電気分離は次の様な結果を示した.
1.
多結晶
温暖氷は単結晶寒冷氷に対して正に帯電した.
2.
多結晶
寒冷氷は単結晶温暖氷に対して摩擦回数の少ない間は正に帯電した.
しかし摩擦回数が多くなると符号の逆転現象が現われ,同時に単結晶温暖氷の摩擦面が,寒冷氷の
多結晶粒界の直径より小さい多結晶
が再結晶した.以上の実験結果より,
多結晶
氷は単結晶氷に対して正に帯電することになる.この現象の説明としては,
多結晶
,また,結晶粒界では,1個の水分子のもっている4本の水素結合中数本が切れているが,これらが摩擦面の温度上昇により再結合する時,単結晶の場合(結晶粒界が無い)よりはるかに小さいエネルギーで配向欠陥を作りえると仮定するならば,(単結晶の場合は,配向欠陥の形成エネルギーは1.2eV)L欠陥(-)はD欠陥(+)より移動度が大きいので,L欠陥が拡散により単結晶側に移動するために,
多結晶
側は取残されたD欠陥のために正に帯電することになる.実験事実は寒冷領域(-10°C以下)での現象なので,
多結晶
氷が正に帯電するためには,荷電担体は,配向欠陥である必要が有り(イオン欠陥であるとすると
多結晶
氷は負に帯電)そのためには配向欠陥の形成エネルギーが結晶粒界で極端に小さい値でなければならない.
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