L-アラビノースは植物細胞壁の構成糖の1つであるペントースで, L体として多く存在する。植物細胞壁の1つコーンファイバーをシュウ酸で限定分解することで, L-アラビノースを多く含む糖液の調製を行い, 精製, 工業的クロマト分離, 晶析工程等を経て高純度(99%以上)のL-アラビノースを生産する技術開発に成功した。L-アラビノースそれ自体は腸管から3.4%しか吸収されないが, 小腸スクラーゼを阻害することから,ショ糖由来の血糖上昇を抑制する。その阻害はα-グルコシダーゼの中でスクラーゼに対して特異的で, 阻害機構は不拮抗型であった。有効な添加量はショ糖に対し3~4%で, 血糖上昇, インスリン分泌を有意に抑制し, 60分間の血糖曲線下面積を40%低減した。効果の持続性では,
in vitroではスクラーゼ付近で4時間以上滞留すると共に, ヒト試験では2時間後に摂取した糖負荷食(市販の羊羹)の血糖上昇を有意に抑制した。その安全性は, 動物やヒトを用いた試験で確認された。ショ糖を含む食品だけでなく, ショ糖を含まなくともショ糖を含む食品と一緒に摂る食品への添加用素材としてL-アラビノースは有用である。
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