本稿では,現行の中学校理科教科書(3社)の中で用いられている,程度や量を表すことば(大きい,多い,高い,強いなど)の使われ方についての調査結果と,それらの意味・用法についての分析結果を報告する。調査の結果,事象の程度や量は,大半のものが「大きい・小さい」とその他の形容詞との両者で表されるということ,一部のものは「大きい・小さい」のみで表されるということ,また。一部のものは「大きい・小さい」以外の形容詞で表されるということがわかった。さらに,同じ1つの事象の程度や量を表す場合,いく通りもの表現が見られる用例もいくつかあることがわかった。用例の分析から判断すると,中学校理科教科書においては,これらのことばの使い方については注意が払われていないように思われる。程度や量を表すことばを科学用語とからめて検討することの必要性を指摘した。
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