小児の進行した慢性腎臓病(CKD)の多くが非糸球体性疾患で占められ,その発見は学校検尿では困難である.2020年より愛媛県宇和島市では,小学4年の小児生活習慣病予防健診に血清クレアチニン(血清Cr)の測定が追加され,血清Crに基づいた推算糸球体濾過量(Cr-eGFR)による小児CKDスクリーニングが行われている.同様に2022年に
大洲市
でも小学4年と中学1年を対象に開始された.これまで合わせて小学4年1,900名,中学1年352名がスクリーングされている.Cr-eGFRが,小学4年は90 mL/min/1.73 m
2未満,中学1年は85未満を陽性基準とし,各々125名と19名が要精密検査とされ,うち85名と11名が当科を受診している.結果,CKD stage 2以上が5名,CKD stage 3の常染色体潜性多発性囊胞腎(autosomal recessive polycystic kidney disease: ARPKD)が1名発見された.一般小児人口におけるCKDの潜在的な有病率と小児生活習慣病予防健診における血清Cr測定の有効性が示された.
抄録全体を表示