大阪府能勢町は2016年に市内の小学校6校と中学校2校が再編整備され,小中一貫校の能勢ささゆり学園が新設された。これに伴い,スクールバス通学の児童・生徒が増え,現在では7割近くに達する。バス通学になると,児童・生徒らは登下校時の歩行距離が短くなることや始業前や放課後に校庭での遊び時間が短縮されることで,身体活動に割く時間が顕著に減少することになる。また,再編整備後から,能勢町ささゆり学園の児童の体力測定結果は,年々低下傾向を示し,全国平均より大きく下回るようになった。そこで2019年度より能勢町の子どもの体力向上を目的に能勢町教育委員会,能勢ささゆり学園および
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の官学連携事業「能勢っ子!かけっこ!日本一!」プロジェクトが開始された。本プロジェクトは本学の教育改革支援研究費(タイプ2:社会・企業・地域連携に関して教育に資する研究)の助成を2019年度から3年間受け実施された。その結果,能勢町ささゆり学園全児童の50m走平均タイムは,全国平均値と比べ2019年度では0.42秒遅い結果となっていたが,2022年度では0.02秒までその差を短縮することができた。また,疾走能力改善のための運動プログラムとして作成したオノマトペ体操は,学校現場において朝の会など体育授業以外でも取り入れられ有効活用された。よって,能勢町教育委員会,能勢町ささゆり学園そして
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との官学連携事業は,大学の教育改革支援研究費の助成を受けることで成功裏に終えることができたと考える。
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