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クエリ検索: "天宮号宇宙ステーション" 完成型
1件中 1-1の結果を表示しています
  • 清水 順一郎
    日本航空宇宙学会誌
    2023年 71 巻 9 号 252-260
    発行日: 2023/09/05
    公開日: 2023/09/05
    ジャーナル 認証あり

    私たちは今,人新世の真っ只中にいて,漠然とした不安と向き合っている.頻発する異常気象の直撃を受け,感染症のパンデミックに遭遇し,核戦争の脅威も払拭できない.これまでにない「人類と地球の危機」に直面しているように思える.その根本原因が「地球の有限性」と「資本主義の欲望」に帰着すると誰もが理解し始めている.この危機を回避して,将来世代への悪影響を少しでも緩和するには,温室効果ガスの排出抑止と日常生活全般の脱炭素化を徹底し,資源消費型でGDP至上の資本主義経済の在り方を見直し,さらには,自らの世界観と価値観も変えなければ,人類のwell-beingが大きく低下するとIPCCが警鐘を鳴らし続けてきた.まさに「社会の大変革」が避けては通れない時代に突入している.この変革は,私たちの生活の隅々にまで大きな影響を与えるために,社会生活が行き詰まることが危惧される.キャパシティが有限な地球,そして,人間の技術力と忍耐力に頼るだけでは「危ない」という気持ちに支配される.このために,先駆者Gerard O’Neillのアイデアに再び着目する.地球という閉じた系だけで考えるのではなく,地球─月圏で考える方向を模索してはどうだろうか.本稿では,このアイデアにも留意しながら,人類と地球の危機を緩和するための糸口として,「月の開発利用」をO’Neillとは別の視点から検討する.そのポイントは,「月を地球のコモンズ(共有地)」として位置付ける考え方である.このために,総合的な視座(i.e. 宇宙の総合学の立場)から,この実現に関わる世界の動向や主要な課題を概観しつつ,筆者の見解と意見を紹介したい.

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