近年,母液接触面積の増大,均一粒径の結晶生成などで有望視されている逆円錐型容器を用い,硝酸バリウム結晶の溶解およびその成長速度を測定した。まず,容器特性について若干の考察を行ない,その結果,本容器内では,物質移動定数は流量,および結晶粒子堕の大きさに影響されないこと,したがって,物質移動速度が関与する速度過程の解析には,あらかじめ溶質の物質移動定数に関する知見を得ておく必要があることを示した。ついで,固定熔融球に関する溶解速度の結果としてRanz MarshalI型の無次元化式を得た。
76(z lltB-)i13(-fz1,1; ;fi1Lsu)lx2
ここで,kは物質移動定数(9/cm2,sec), Dは拡散係数(cm2/sec),πは液流速(cm/sec), Lsは固定球半径(cm),F,3eeFはそれぞれ溶液の密度(glcm3)および粘度(glcm,sec)である。その結果と結晶粒子の溶解速度との比較から,使用した結晶粒子の形状係数畝,として顕微鏡観察と矛盾しない値1,84を得た。また,本宰験温度範囲内における溶質の液義膜拡散定数の温度依存度として4, 0 kca1/mol(固定球)3.95 kcal/mol(結晶粒子)を得た。
つづいて,総括成長速度を測定し,その速度は拡散律速域と表面反応律速域の中間域におけるものであることを明らかにし,溶解実験から得た物質移動抵抗を用いて表面反応の活性化エネルギL27.5kca1/molを得た。最後に,逆円錐型晶六器の容器効率に対する操作因子としての結晶粒径について若干の考察を加えた。
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