子宮頸部
扁平上皮癌は, 人体諸臓器の癌のなかで最もよく研究されている分野の一つで, 細胞診断学的にもほぼ確立され, 早期発見が可能となっている. しかし,
子宮頸部
腺癌に関しては, 細胞所見と組織所見との対応に関する知見の集積が十分でなく, 早期発見はいまだ困難であるといわざるを得ない. 今回我々は, 術前に診断し得た
子宮頸部
上皮内腺癌の2症例において, その細胞診所見について再検討を加え, さらに, その腫瘍細胞のDNA contentをフローサイトメトリーによって解析した. これらの症例において, 偽重層, 柵状配列, 羽毛状の細胞集塊の配列が認められた. さらに, 細胞質内空胞, N/C比の増大, 核配例の極性の乱れ, 核小体明瞭化が見られ, これらの所見は初期
子宮頸部
腺癌の細胞診断上有用であると考えられた. なお, 今回報告する2症例ではともにDNA anueploidyが検出された.
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