デジタル音声処理の一手段として, 子音部の持続時間を伸長させることが語音明瞭度にどのように影響するかを検討した。中等度感音性難聴者に, 音声加工を施した検査語表を用いて語音明瞭度検査を行った。検査のために, (1) 単音節語表 (19語), (2) 連続発話した無意味三音節語表 (10語) を作成した。(1) は, 子音部2倍伸長加工あり/なしの組み合わせで, また (2) は40msecの子音部伸長加工あり/なし, 振幅圧縮増幅加工あり/なしの組み合わせで語表を製作した。呈示音圧は, 対象の1000Hzの気導閾値上25dBとした。単音節の子音部伸長は, 有声子音の明瞭度を改善させた。連続発話した無意味三音節語表では, 40msecの子音部伸長では加工時間が短いことや, 調音結合による明瞭度改善が大きいことにより, 明瞭度への影響は少なかった。今後, 対象の聴力レベルや呈示音圧による変化, 音声加工の方法を再考し検討する必要がある。
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