1.はじめに
第9回物理教育シンポジウム「新テストと物理教育―期待と課題―」ではパネリストとしての参加のため,自分の意見はあまり話せませんでした.シンポの内容は
Force Concept Inventory(FCI)等の概念指標の開発が進められている.これまでに,FCIの設問の中には,その設問についての正しいNewton力学概念を持つ者でも誤答になる,つまり偽誤答を招く設問があることがわかっている.本研究では,偽誤答が原因で生じる生スコアと真スコアのずれを系統的誤差として評価した.本発表では,これに加え,前研究で導いた偽正答由来の系統的誤差を統合した結果についても報告する.
前研究で開発した「斜面で物体を転がす実験」(以下、転がし実験)には、仮説演繹的推論能力の向上についてはほとんど効果がないという問題があった。これは、効果測定に用いたローソンテストの仮説演繹的推論に係わる設問が、反証を扱う設問のみで構成されているにもかかわらず、転がし実験には学習者に反証を経験させる過程が含まれていないことに起因している可能性がある。そこで本研究では、転がし実験に反証過程を含めるように改善し、その効果を検証した。
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