エビデンスに基づく介入(evidence-based intervention, EBI)の普及と
実装
を科学的に進めるための学問分野を
実装
科学(implementation science)という.
実装
科学が扱うリサーチクエスチョンは,エビデンス・プラクティスギャップに対処するために答えるべき質問そのものである.具体的には,1) EBIを現場で日常のプラクティスとして実施するときの阻害・促進要因は何か,2) EBIを
実装
するには,阻害・促進要因に合わせどのような働きかけ(
実装
戦略)を用いるべきか,3)
実装戦略の追加により実装
に関連したアウトカムが改善するか,4) EBIの効果を損なわずに現場の阻害・促進要因に合うようEBIを修正するにはどうすればよいか,などである.
実装
科学の方法論は体系的に整理されたものである.現場のステークホルダーが普及を強く望むような,住民・患者によって有益なプラクティスがあり,それを普及させたいときに
実装
科学は有用なガイドとして機能するであろう.また,そのような実践活動を学術的に整理し新たな知見として報告する機会も与えてくれるであろう.本稿では,まず
実装
研究について総論的な解説を行い,次に現在国立がん研究センターの
実装科学チームが実施している中小企業における喫煙対策の実装
研究について紹介する.最後に,
実装
科学の普及という観点から行っている活動を紹介する.
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