目的 政府機関による
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調査として、戦後の日本では、1946年の価格調査を端緒とし現在の「
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調査」まで毎年調査が行われている。諸外国でも
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調査が実施されていることは周知の事実である。
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調査は各々の国の生活実態を経済的側面から捕捉するものであるが、国際比較により政策等が
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に及ぼす影響を検討することも可能である。本研究では、これら研究のための基礎資料として世界の政府機関による
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調査の所在を調査し、欧米、アジアの調査を取り上げ、調査の方法、用語の定義について比較を行う。
方法 外務省ホームページに掲載される197カ国・地域について、各国の政府統計局等のホームページ、国際機関(世界銀行、国際連合、ユーロスタット等)のホームページ、文書により、
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に関する調査の存在を探索(2005年9月~2006年1月の間に調査実施)。
結果 現在までに、155ヶ国・地域で1990年以降に
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調査が実施されていることが明らかとなった。名称にはincome、expenditureの他、budgetを用いたものが多い。サンプリングの単位には世帯の他、住居を用いている国もある。世帯の定義には、住居、支出、収入の共有が用いられることが多いが一律ではない。世帯主/世帯参照人についても、最も収入が高い、住居所有者または家を借りている責任者、予算への通常の貢献が最も多い、年長者、自己申告など多様である。各世帯の調査期間は、14日間、4週、1週×4回、3ヶ月、1ヶ月等、日本に比べ期間が短い。収支、支出の記録には
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簿(diary)が用いられている。世帯単位だけでなく、一定年齢以上の全世帯員が各々
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簿を記録する国もあり、マイクロデータレベルでは、個人別の支出内容の分析も可能となる。
*本研究は、(財)
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経済研究所「日本の
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に関する研究」プロジェクトの一環として実施されたものである。
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