点と直線は、場合により、無限に小さく、無限に細い、要素と考えることがある。つまり、三直線が一点で交わるという共点性を考えるとき、点は概念的に無限に小さいと考える。また、三点が一直線上にあるという共線性も、無限に細い点と線を考える。しかし、図形を作図するとき、点を目で書く場合、コンパスの針の位置決めには、高々0.05mmぐらいの精度であり、それ以上の精度は望めない。また、定規を使う場合、点と点を結んで線を作るときもそれぐらいの精度である。また、CADによる作図は、交点サーチなどがあり、コンピュータの持つ実数精度の意味で厳密性が増す。そこで、共点性の確からしさも増すことになる。
しかし、それでも極限的実数濃度の点の位置は、確かめようがない。そこで、作図による、例えばパップスやデザルグの定理の共線性やその点と線の関係を入れ替えた双対定理の共点性の図は、証明なしには、厳密に成立したとは言えないであろう。そこに、論理的証明に意味がある。では、論理的証明がいいかというとそこにもまた限界が見られる。なぜなら、証明すべき作図的命題がユークリッド的命題と取るか非ユークリッド的命題と取るかの認識の違いにより、 (たとえば、平行線の公理をどのように用いるかなどにより、) 異なるからである。つまり各個人の知識体系の違いにより命題の持つ認識や意味は異なるのである。そこに、定理の作図にしろ、証明にしろ、その表現を味わう意味がでてくる。そんなことを思いつつ、今回は、定理の円表現を味わって頂きたく、それらの若干のCADによる作図表現を行う。
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