公共交通整備水準の高いアメリカ・ポートランド都市圏と、都市圏規模が類似したわが国の典型的な地方圏である岡山都市圏を対象に、公共交通整備水準の差異によるモビリティ・ディバイドの発生状況を検証した。分析の結果、岡山都市圏では、移動制約レベル(自家用車と免許の有無)と移動利便性評価に有意差は見られないものの、外出頻度は移動制約レベルが高くなるほど低下する傾向にあった。一方、ポートランド都市圏では、移動制約レベルの高い居住者ほど移動利便性評価が高くなる。また、移動制約レベルと外出頻度には統計的な有意差は見られず、公共交通システムが高水準に整備されることで、モビリティ・ディバイドの低減に寄与する可能性を示した。
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