水耕法で栽培されたレタスを収穫直前に採取し,高濃度のL-アスコルビン酸(AsA;pH無調整)溶液とそのナトリウム塩(NaAs;pH 4に調整)溶液に同条件で浸漬処理を行った.16時間の浸漬処理により,NaAsおよびAsA処理とも,2000 ppm処理のレタスの外葉に明らかな萎凋が認められた.AsA処理では,NaAs処理に比べ葉部のAsA含量が著しく増加した.AsAの1000 ppm,1500 ppm,2000 ppm処理区の葉部のAsA含量二は対照区(21.5mg/100 g•FW)に比べそれぞれ4.5,6.1,7.7倍となった.
1500ppmのAsA溶液の浸漬処理による,葉ネギおよびレタス葉部のAsA含量の経時的変化についても検討した.処理時間の経過に伴い,ネギおよびレタスの吸水量が徐々に減少し,これに伴って生体重も減少した.12時間処理の生体重の減少率は約10%であった.15°Cで6時間の蒸留水の浸漬により,生体重はほぼ回復した.この場合の葉部のAsA含量は,生体重100g当たりネギで112.9mg,レタスで94.3mgであった.両葉菜類とも,葉部のAsA含量は処理時間の経過に伴い直線的に増加した.酸化型アスコルビン酸も増加するが,AsAに比べ含量も増加率も小であった.
以上の結果から,AsA処理はNaAs処理に比べ短時間処理で葉部のAsA含量を高める有効な手法であることが認められた.また,AsA処理による葉部のAsA含量の増加パターンは,直線的であることから処理環境を一定にすれば処理液のAsA濃度と処理時間から葉部のAsA含量を推定でき,かつ保証することも可能であることが示唆された.
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