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クエリ検索: "小後頭直筋"
54件中 1-20の結果を表示しています
  • 五百蔵 一男
    昭和医学会雑誌
    1988年 48 巻 6 号 681-692
    発行日: 1988/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    骨格筋の機能と筋線維構成の関係を明らかにする研究の一環として, 後頭下筋につき, その横断面積, 断面の筋線維総数, 1mm2中の筋線維数, 筋線維の太さ, 密度等を算出し, 他と比較した.材料は学生実習用の10%ホルマリン水注入屍11体 (男性6, 女性5, 平均年齢73.2歳) から得られた大後頭直筋,
    小後頭直筋
    , 上頭斜筋, 下頭斜筋の4筋でセロイジン包埋, HE染色標本によった.結果は次のごとくである.1) 筋腹横断面積および断面の筋線維総数は男女とも下頭斜筋, 大後頭直筋, 上頭斜筋,
    小後頭直筋
    の順に大で多かった.男女別には断面積では男性の方が女性よりも優る傾向が見られたが, 線維数では一般に性差はなく下頭斜筋のみに男性優位の傾向が見られたに過ぎなかった.2) 1mm2中の筋線維数は, 男女平均で下頭斜筋が最も多く, 上頭斜筋がこれに次ぎ, 以下, 大,
    小後頭直筋
    はほぼ等しく, 頭斜筋が後頭直筋よりも多い傾向がみられた.他筋に比べて, 4筋とも外腹斜筋, 腹横筋等よりも少なく, 中間的な筋群に属した.3) 筋線維の太さは,
    小後頭直筋
    が最も大, 大後頭直筋がこれに次ぎ, 上, 下頭斜筋が相等しくて最も小で頭の固定に働く筋が頭の回旋に働く筋よりも大であった.他と比較すると, 4筋とも僧帽筋中間部よりも遥かに小, 大腰筋よりも大であり, 一般に骨問の一定位の保持に働く筋に最も近かった.4) 筋線維の密度は, 下頭斜筋と
    小後頭直筋
    , 上頭斜筋と大後頭直筋がそれぞれ相等しく, 前者が後者よりも優っていたが, 女性では4筋とも相等しくて差がなく, 上頭斜筋と大後頭直筋では女性の方が男性よりも密度が高かった.4筋とも外腹斜筋, 内腹斜筋, 腹横筋, 腸骨筋よりも低く, 身体支持筋の特徴を示していた.5) 組織所見では, 筋線維の大小不同は
    小後頭直筋
    に, 萎縮は上頭斜筋と下頭斜筋にそれぞれ多く, 結合組織性の筋周膜増加は大後頭直筋と下頭斜筋で男性に多い傾向がみられた.6) 筋線維の太さの分布型から見て, 大後頭直筋と
    小後頭直筋
    は頂点の低い分布型が多く, 上頭斜筋と下頭斜筋は逆に高い分布型が多く, 後者の方が萎縮傾向が強く小型に均一化していると考えられた.
  • 肉眼解剖による観察
    上田 泰久, 福井 勉, 小林 邦彦
    理学療法学Supplement
    2010年 2009 巻 P1-164
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】座位姿勢において上半身質量中心位置(Th7-9)を前方へ移動すると頭部を水平に保つために下位頚椎は伸展して上位頚椎は屈曲し、後方へ移動すると下位頚椎は屈曲して上位頚椎は伸展することが観察できる。座圧中心は上半身質量中心位置を投影している重要な力学的な指標である。我々は第64回日本体力医学会大会(2009年)において「座圧中心と頚椎の回旋可動域の関連性」について報告し、左右の移動では座圧中心を頚椎の回旋側とは逆側へ移動すると回旋可動域が有意に向上したが、前後の移動では回旋可動域に有意差はない結果を得た。しかし、座圧中心の前後の移動では頚椎回旋の運動パターンが異なることが観察されたため、頭部肢位の変化により後頭下筋群の働きに違いがあるのではないかと考えた。今回、頭部肢位の違いと後頭下筋群の関係について肉眼解剖を行い観察することができたため報告する。
    【方法】名古屋大学大学院医学系研究科の主催する第29回人体解剖トレーニングセミナーに参加して肉眼解剖を行った。86歳男性のご遺体1体を対象とした。仰臥位で後頚部の剥皮後、左側の僧帽筋上部線維,頭板状筋,頭半棘筋を剥離し、左側の後頭下筋群(大後頭直筋,
    小後頭直筋
    ,上頭斜筋,下頭斜筋)を剖出した。剖出した後頭下筋群を観察した後、他動的に頭部肢位を屈曲位および伸展位に変化させた後頭下筋群の状態を観察した。さらに、頭部肢位を変化させた状態から他動的に頚椎を左回旋させ、後頭下筋群の状態を観察した。後頭下筋群の状態はデジタルカメラを用いて撮影した。他動的な頭部肢位の変化と左回旋の誘導は1名で行い、デジタルカメラ撮影は別の検者が行った。
    【説明と同意】学会発表に関しては名古屋大学人体解剖トレーニングセミナー実行委員会の許可を得た。
    【結果】頭部肢位を屈曲位にすると上位頚椎も屈曲位となり、左大後頭直筋,左
    小後頭直筋
    ,左上頭斜筋,左下頭斜筋は起始と停止が離れて緊張した状態になった。一方、伸展位にすると左大後頭直筋,左
    小後頭直筋
    ,左上頭斜筋,左下頭斜筋は起始と停止が近づき弛緩した状態になった。頭部肢位を屈曲位から左回旋させると、左大後頭直筋,左下頭斜筋は緊張した状態から軽度弛緩した状態へと変化した。一方、伸展位から左回旋させると、左大後頭直筋,左下頭斜筋はより一層弛緩した状態へと変化した。左
    小後頭直筋
    ,左上頭斜筋は頭部肢位に関係なく他動的な左回旋では著明な変化は観察できなかった。
    【考察】大後頭直筋は両側が働くと環椎後頭関節,環軸関節を伸展させ、片側が働くと同側に側屈,回旋させる。
    小後頭直筋
    は両側が働くと環椎後頭関節を伸展させ、片側が働くと同側に側屈させる。上頭斜筋は両側が働くと環椎後頭関節を伸展させ、片側が働くと同側に側屈して逆側に回旋させる。下頭斜筋は両側が働くと環軸関節を伸展させ、片側が働くと同側に側屈,回旋させる(河上ら,1998)。自動的に左回旋をする場合、左側(同側)の大後頭直筋,下頭斜筋は上位頚椎の回旋運動に大きく関与し、左側(同側)の上頭斜筋,
    小後頭直筋
    は回旋運動に対して拮抗する固定的な要素が強いと考えられている(五百蔵,1988)。後頭下筋群は筋紡錘の密度が高く非常に小さい筋群である(Kulkarni et al. ,2001)。そのため、頭部肢位の変化に伴い起始と停止の位置関係が大きく変わることは筋長に決定的な影響を与え、収縮のしやすさが変化すると考える。つまり、頭部肢位が屈曲位にある場合、後頭下筋群は緊張した状態であり収縮しやすい条件であると考えられる。一方で伸展位にある場合、後頭下筋群は弛緩した状態であり収縮しにくい条件であると考えられる。以上より、頭部肢位を屈曲位の条件では後頭下筋群が働きやすく、上位頚椎の回旋が誘導されやすい運動パターンになるのではないかと考えた。
    【理学療法学研究としての意義】頭部前方変位の姿勢を呈する症例では、胸椎が後彎して下位頚椎は屈曲位で上位頚椎は伸展位になり、後頭下筋群が短縮して伸張性が低下していることがある。このような症例では、後頭下筋群の伸張性を徒手的に改善させるだけでなく、姿勢と関連させて後頭下筋群が働きやすい状態にすることが望ましいと考える。本研究は、肉眼解剖により実際に後頭下筋群を観察して確認した研究である。後頭下筋群は姿勢制御においても大変重要な役割があるといわれており、ご遺体1体の観察ではあるが姿勢と後頭下筋群を関連させた理学療法学研究として意義のあるものと考えている。
  • —手術手技と筋層保存の効果—
    村田 英俊, 高瀬 創, 吉川 信一朗, 安久 正哲, 森信 哲, 佐藤 充, 横山 高玲, 菅野 洋, 川原 信隆
    脊髄外科
    2010年 24 巻 2 号 226-232
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/05/11
    ジャーナル フリー

      The adequate expansion of C1 and C2 spinal canal is required for the treatment for upper cervical spinal cord lesion. Conventional axial laminectomy and laminoplasty can cause postoperative cervical malalignment and axial neck pain. These complications are serious, especially for younger patients, who can be subjected to progressive kyphotic deformities. Complete opening of these laminae is not necessarily demanded for the degenerative cervical disease such as cervical spondylosis, disc hernia and ossification of posterior longitudinal ligament. C2 decompression can be achieved by bell-shape osteotomy through large C2 spinous process, or undermining one of C2 from caudal edge. However, complete laminar opening is needed for upper cervical spinal tumor, especially large intradural spinal tumor or intramedullary cord tumor. The authors developed the laminar opening and reconstruction with all the muscular attachment undisturbed for upper cervical spinal cord lesion including C1-2. The secure of intermuscular space for lateral gutter is key procedure after midline splitting of C1-2. In C1, the lateral gutter is secured between rectus capitis posterior major (RCPMa) and minor muscle, or between RCPMa and obliquus capitis inferior muscle (OCI). In C2, it is secured between OCI and semispinalis cervicis muscle. The laminar flap is opened with all the muscular attachment maintained. Sufficient operative field was acquired, and make intradural manipulation easier. Muscle-preserving laminoplasty is completed with or without hydroxyapatite implant. We introduced these procedures in detail, and verified the concept of musculo-skeletal preservation under the pre-and post-operative evaluation of muscular layers related with C1 and C2.

  • 石川 正
    日本耳鼻咽喉科学会会報
    1958年 61 巻 7 号 1035-1046
    発行日: 1958/07/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    Of various muscles of the rabbit in the natural position (e. g. nape, back, and forelimbs), the electromyographical studies were done and the changes in the posture were observed. The results obtained are as follows : 1. On the electromyogram, the spontaneous tonic discharges are obtained in the deep nape muscles (M. rectus capitis posterior major et minor, M. obliquus capitis superior), in the deep back (M. sacrospinalis) and the flixor and extensor of the forelimbs (M. articuloulnaris et Mm. anconaei), However they are not observed in the superficial muscles of the nape and the back (M. trapezius et M. splenius). 2. The postures are changed in labyrinthectomized rabbits following certain principles. 3. In following unilateral labyrinthectomy in the normal, but with removal of cerebrum and cervical nerves (C1∼C4) the tonic discharges are decreased mainly in thn deep nape and back, and the flexor of the forelimb contralaterally, and also in the extensor of the forelimb ipsilaterally. After the bilateral labyrinthectomy, the discharges disappear mostly. 4. Consequently the tonic discharges have relation to the labyrinthine muscle tonus and ch- anges of the posture.
  • 鈴木 重行
    体力科学
    2015年 64 巻 1 号 13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/25
    ジャーナル フリー
  • ―1例の肉眼解剖学的観察から得られた知見―
    上田 泰久, 小林 邦彦
    理学療法学Supplement
    2014年 2013 巻 1613
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】臨床において,理学療法士が頸椎疾患の随伴症状である頭痛を呈する症例を担当することは少なくない。頸椎由来の頭痛には大後頭神経が関与している(矢島ら2005)。大後頭神経は第2頸神経の後枝であり後頭部の知覚を支配しており,この神経が圧迫および伸張されると後頭部に疼痛などを引き起こす。大後頭神経は深層から表層までの複数の筋の間を走行しており,圧迫および伸張されやすい部位(以下,圧迫・伸長部位)を知ることは神経の絞扼および牽引症状を理解する上で重要と考える。本研究の目的は,大後頭神経の肉眼解剖を行い,詳細に観察して神経の走行や圧迫・伸長部位について検証することである。【方法】80歳代男性の解剖用遺体1体を対象とした。まず腹臥位で後頸部の剥皮後,右僧帽筋上部線維(以下,右僧帽筋)上の頸筋膜を貫通する右大後頭神経を外後頭隆起の外側で剖出した。次に左では僧帽筋・頭板状筋・頸板状筋を飜転させて,右では僧帽筋を剥離して頭板状筋・頸板状筋を飜転させ,頭半棘筋を貫通する右大後頭神経を剖出した。また,右頭半棘筋と下頭斜筋間の大後頭神経を剖出した。さらに,右大後頭神経を貫通させたまま右頭半棘筋を起始部から切離して後頭骨へ飜転させた。頸椎を正中断して左頸部を離断したのち,右後頭下筋群を大後頭直筋・
    小後頭直筋
    ・上頭斜筋・下頭斜筋に分離して右下頭斜筋を迂回する右大後頭神経を剖出した。右大後頭神経の走行について,右僧帽筋上の頸筋膜を貫通する部位(以下,僧帽筋貫通部)・右頭半棘筋を貫通する部位(以下,頭半棘筋貫通部)・右下頭斜筋を迂回する部位(以下,下頭斜筋迂回部)を肉眼で詳細に観察した。なお,本研究は名古屋大学大学院医学系研究科の主催する人体解剖トレーニングセミナーで得られた知見である。【説明と同意】名古屋大学人体解剖トレーニングセミナー実行委員会の承認を得て実施した。【結果】右大後頭神経の走行について深層から表層の順に記述する。大後頭神経は下頭斜筋の下を迂回して現れていた。下頭斜筋迂回部では,大後頭神経と下頭斜筋間に介在する結合組織は少なかった。下頭斜筋迂回部から出た大後頭神経は,鋭角に走行を変えて頭半棘筋深層に入り込み筋表層へ出現していた。頭半棘筋貫通部では,大後頭神経と頭半棘筋間に介在する結合組織は殆どなく大後頭神経は頭半棘筋を貫通していた。また頭半棘筋貫通部の大後頭神経を前後に動かすと,頭半棘筋の中で容易に移動させることができた。頭半棘筋を出た大後頭神経は,僧帽筋を貫通して皮下の頸筋膜の表面に達していた。僧帽筋貫通部では,大後頭神経が結合組織で密に固定されており大後頭神経を容易に移動させることはできなかった。【考察】頭頸部の末梢神経分布には,大後頭神経・大耳介神経・小後頭神経・頸横神経・第3後頭神経・鎖骨上神経が関与している。前頸部・外側頸部の感覚は,第1~4頸神経の前枝である大耳介神経・小後頭神経・頸横神経・鎖骨上神経の支配を受ける。後頭部・後頸部の感覚は,第2~3頸神経の後枝である大後頭神経・第3後頭神経の支配を受ける。特に大後頭神経の障害は頭痛に深く関与している。大後頭神経は下頭斜筋を迂回した後,鋭角に走行を変化させて頭半棘筋を貫通し僧帽筋起始部で線維性に固定されており,これらの圧迫・伸長部位で大後頭神経が障害されて絞扼および牽引症状を引き起こすと考えられる。さらに堀江らは,大後頭神経の走行を5部位に区分して,頸椎の運動との関係について報告している。頸椎の運動に伴い大後頭神経が大きな形態変化を生じる部分は,椎間孔から頭半棘筋に至る部分と頭半棘筋から僧帽筋に至る部分であり,特に最も外力が集中する部位は下頭斜筋迂回部であると推測している。特に上位頸椎の運動では,下頭斜筋を含めた後頭下筋群の形態は容易に変化する(上田ら2011)。また下頭斜筋迂回部では脂肪組織が介在することなく大後頭神経が軸椎椎弓に密着しており,頸椎の過伸展により下頭斜筋迂回部で軸椎椎弓に押し付けられ損傷をきたすものと考えられる。【理学療法学研究としての意義】大後頭神経の肉眼解剖から神経の走行と筋の位置関係を詳細に観察して,圧迫・伸長部位について検証した。大後頭神経は下頭斜筋迂回部・頭半棘筋貫通部・僧帽筋貫通部で圧迫および伸長されやすい特徴を有していた。また頸椎の伸展・屈曲により筋の位置が変化して大後頭神経が圧迫および伸長される特徴も有していた。本研究は解剖用遺体1体の観察ではあるが,大後頭神経の圧迫および伸長される部位について詳細に検証した研究であり,理学療法士として頭痛の症例に対する評価および治療を展開する上での基礎的情報になると考えられる。
  • ―MRIを用いた大後頭直筋の筋肉内脂肪計測―
    光武 翼, 中田 祐治, 岡 真一郎, 平田 大勝, 森田 義満, 堀川 悦夫
    理学療法学Supplement
    2014年 2013 巻 0804
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】後頭下筋群は筋紡錘密度が非常に高く,視覚や前庭覚と統合する固有受容器として中枢神経系との感覚運動制御に関与する。後頭下筋群の中でも深層の大
    小後頭直筋
    は頸部における運動制御機能の低下によって筋肉内に脂肪浸潤しやすいことが示されている(Elliott et al, 2006)。脳梗塞患者は,発症後の臥床や活動性の低下,日常生活活動,麻痺側上下肢の感覚運動機能障害など様々な要因によって後頭下筋群の形態的変化を引き起こす可能性がある。本研究の目的は,Magnetic Resonance Imaging(以下,MRI)を用いて後頭下筋群の1つである大後頭直筋の脂肪浸潤を計測し,脳梗塞発症時と発症後の脂肪浸潤の変化を明確にすることとした。また,多変量解析を用いて大後頭直筋の脂肪浸潤に影響を及ぼす因子を明らかにすることとした。【方法】対象は,脳梗塞発症時と発症後にMRI(PHILPS社製ACHIEVA1.5T NOVA DUAL)検査を行った患者38名(年齢73.6±10.0歳,右麻痺18名,左麻痺20名)とした。発症時から発症後のMRI計測期間は49.9±21.3日であった。方法は臨床検査技師によって計測されたMRIを用いてT1強調画像のC1/2水平面を使用した。取得した画像はPC画面上で画像解析ソフトウェア(横河医療ソリューションズ社製ShadeQuest/ViewC)により両側大後頭直筋を計測した。Elliottら(2005)による脂肪浸潤の計測方法を用いて筋肉内脂肪と筋肉間脂肪のpixel信号強度の平均値を除することで相対的な筋肉内の脂肪浸潤を計測した。大後頭直筋の計測は再現性を検討するため級内相関係数ICC(2,1)を用いた。発症時と発症後における大後頭直筋の脂肪浸潤の比較はpaired t検定を用いた。また,大後頭直筋の脂肪浸潤に影響を及ぼす因子を決定するために,発症時から発症後の脂肪浸潤の変化率を従属変数とし,年齢,Body Mass Index(以下,BMI),発症から離床までの期間(以下,臥床期間),Functional Independence Measure(以下,FIM),National Institute of Health Stroke Scale(以下,NIHSS),発症時から発症後までのMRI計測期間を独立変数としたステップワイズ重回帰分析を行った。回帰モデルに対する各独立変数はp≧0.05を示した変数を除外した。回帰モデルに含まれるすべての独立変数がp<0.05になるまで分析を行った。重回帰分析を行う際,各独立変数間のvariance inflation factor(以下,VIF)の値を求めて多重共線性を確認した。すべての検定の有意水準は5%とした。【倫理的配慮,説明と同意】すべての患者に対して文章,口頭による説明を行い,署名により同意が得られた者を対象とした。【結果】対象者のBMIは21.5±3.3,臥床期間は5.3±9.5日,FIMは84.6±34.5点,NIHSSは5.6±5.9点であった。大後頭直筋の脂肪浸潤におけるICC(2,1)は発症前r=0.716,発症後r=0.948となり,高い再現性が示された。脳梗塞発症時と発症後に対する大後頭直筋の脂肪浸潤の比較については発症時0.46±0.09,発症後0.51±0.09となり,有意な増加が認められた(p<0.001)。また重回帰分析の結果,大後頭直筋における脂肪浸潤の変化率に影響を及ぼす因子としてNIHSSが抽出された。得られた回帰式は,大後頭直筋の脂肪浸潤=1.008+0.018×NIHSSとなり,寄与率は77.5%(p<0.001)であった。多重共線性を確認するために各変数のVIF値を求めた結果,独立変数は1.008~4.892の範囲であり,多重共線性の問題は生じないことが確認された。【考察】脳梗塞患者の頸部体幹は,内側運動制御系として麻痺が出現しにくい部位である。しかし片側の運動機能障害は体軸-肩甲骨間筋群内の張力-長さ関係を変化させ,頸椎の安定性が損なわれる(Jull et al, 2009)。この頸部の不安定性は筋線維におけるType I線維からType II線維へ形質転換を引き起こし(Uhlig et al, 1995),細胞内脂肪が増加しやすいことが示されている(Schrauwen-Hinderling et al, 2006)。脳梗塞発症時のMRIは発症前の頸部筋機能を反映し,発症後のMRIは脳梗塞になってからの頸部筋機能が反映している。そのため,脳梗塞を発症することで大後頭直筋の脂肪浸潤は増加する可能性がある。また大後頭直筋の脂肪浸潤に影響を及ぼす因子としてNIHSSが抽出され,麻痺の重症度が関係している可能性が示唆された。今後の課題は,脳梗塞患者における大後頭直筋の脂肪浸潤によって姿勢や運動制御に及ぼす影響を検証していきたい。【理学療法学研究としての意義】脳梗塞片麻痺患者は一側上下肢の機能障害だけでなく頸部深層筋に関しても形態的変化をもたらす可能性があり,脳梗塞患者に対する理学療法の施行において治療選択の一助となることが考えられる。
  • 平野 幸伸, 加藤 倫卓, 栗田 泰成, 塚本 敏也
    理学療法学
    2014年 41 巻 8 号 639-644
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2017/06/10
    ジャーナル フリー
  • 阪本 厚人, 八田 陽一郎, 白石 建, 玉井 和夫, 長谷 斉
    中部日本整形外科災害外科学会雑誌
    2005年 48 巻 3 号 481-482
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/30
    ジャーナル 認証あり
  • 上村 幸子
    理学療法学Supplement
    2019年 46S1 巻 P-12-5
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに、目的】

    2016年度の診療報酬改定により新設された排尿自立指導料は,下部尿路機能障害を有する患者に対して、病棟でのケアや多職種チームによる下部尿路機能の回復のための包括的排尿ケアを評価するものである。

    当院では,平成28年6月より排尿ケアチームによる活動を開始している。そこで今回,当院での排尿ケアチームの活動経過を振り返り、排尿ケアチームにより包括的排尿ケアの実施が排尿自立や下部尿路機能回復へどのような影響を及ぼしているのか、その有用性を検証するために、実態を調査したので報告する。

    【方法】

    平成28年6月から平成29年5月の期間に当院外科・泌尿器科混合病棟において排尿自立支援対象となり支援を受けた患者135名を対象とし、カルテより年齢、性別、入院期間、排尿自立指導に関する診療の計画書(尿道カテーテル留置期間、尿閉・排尿困難・尿失禁・重度の頻尿の有無、残尿量など)、排尿日誌、DPC調査項目チェックリストより後方視的に調査した。また、項目別に単純集計し、排泄行為に関わる入院時・退院時のADL比較について、ウィルコクソンの検定を行った。有意水準はp<0.05とした。

    【結果】

    対象者の平均年齢は78.9±11.6歳で、平均入院期間は36.9±31.3日、平均カテーテル留置期間は10.8±11.6日であった。平均下部尿路機能障害の評価(以下LUTD)は6.8±4.6点、リハビリテーション実施率は59.5%であった。

    また入院時と退院時のADLの比較では、排尿管理、トイレ動作、更衣動作、平地歩行、移乗すべてにおいて入院時より退院時の方が有意に自立度が高かった。

    当院のある一時点の尿道カテーテル留置患者率は、平成28年度が26.5%、平成29年度が20.9%と減少傾向にあり、尿道カテーテル留置の延べ日数は262.4日、平成29年度が194.7日と短縮傾向にあり、介入効果の有用性が示唆された。

    週1回のカンファレンスでは、排尿ケア実施継続の必要性の有無や、ADL向上に向けた排泄方法の提案、投薬の他、排尿ケアだけにとどまらず、栄養・全身状態、社会背景等含め、包括的に検討される。疾患別リハ未実施の患者も対象となるため,ADL低下が懸念される場合は,疾患別リハ開始の提案することも可能となった。

    【結論】

    多職種からなる排尿ケアチームの中で,理学療法士は専門性を生かして排泄動作の妨げとなっている機能障害を評価し,病棟看護師等に対して安全な動作の誘導方法や環境設定を提案する役割を持つ。排尿ケアチームの介入は、多職種での情報共有が図れ、ADL改善に貢献できることが示唆された。引き続き実際の介入内容の指標が明確になるよう検討し、合併症予防・ADL向上(低下の予防)に繋がるよう積極的なチームの取り組みが求められる。

    【倫理的配慮,説明と同意】

    本研究は、後方視的横断研究である。当院入院患者に通常行う評価の一部を使用したものである。データー収集・処理は特定できないようナンバリングし匿名化した。また本研究は当院倫理委員会の承認を得て実施した。

  • 西川 正一郎, 平 勝秀
    理学療法学Supplement
    2019年 46S1 巻 P-12-4
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに、目的】

     頭頸部の角度により嚥下に関与する咽頭喉頭の機能は影響を受け、食道入口部に関しても頭頸部の角度は重要な嚥下の姿勢となっている。今回、食道狭窄拡張術後に頭頸部の前方突出位を呈した症例に対して、理学療法を行うことで日常生活の姿勢、摂食嚥下の改善に至ったので、ここに報告する。

     

    【方法】

     本例は74歳男性、半年前より食後に嘔吐を繰り返しており当院受診。食道胃接合部通過障害、アカラシア疑いの診断にてX年X月精査目的で入院。5病日後に食道バルーン12-15mm使用して15mmまで拡張。翌日より3分粥開始、全量摂取可能となる。12病日後に再拡張にて18-20mmの拡張バルーンを使用し20mmまで拡張を施行した。その後5分粥にて全量摂取できるものの頸部の疼痛出現し、整形外科へコンサルテーションにて理学療法処方となる。レントゲン所見では頸椎がストレートネックを呈しており、問診では嘔吐を繰り返していた時期より頭頸部が前方突出位になっていた。13病日後に評価開始。主訴は胸鎖乳突筋の疼痛。安静時においても頸部屈曲位を呈して枕を高くして頸部は屈曲位であり、触診にて僧帽筋上部繊維、後頭下筋群の緊張が著明であった。日整会の関節可動域測定法にて頸部可動域(以下ROM)は伸展-20度 屈曲55度、左回旋10度、右回旋10度、左側屈10度、右側屈10度であった。車椅子座位計測基準ISO16840-1による眼縁と耳珠点を結ぶ線を移動軸とした角度は伸展方向へ5度、屈曲方向へ5度の可動域であった。嚥下評価の反復唾液嚥下テスト(Repetitive Saliva Swallowing Test:以下RSST)は3回であった。理学療法治療は頭頸部における関節において、頭部が伸展位拘縮、頸部は下部頸椎の屈曲拘縮を呈した前方突出位であったため、頭部伸展位の機能障害として後頭下筋群のうち主に

    小後頭直筋
    の短縮に対してストレッチを施行することで、胸鎖乳突筋の弛緩も見られた。頸部に関しては、安静臥位における過緊張を考慮して臥位にて伸展を促しながら自動運動を行い頸椎のC3~7における単関節運動をモビライゼーションした。

     

    【結果】

     理学療法の介入5日目で、頸部周囲・胸鎖乳突筋の疼痛は消失。関節可動域はISO16840-1による眼縁と耳珠点を結ぶ線で屈曲20度、ROMは伸展15度、左回旋70度、右回旋70度、左側屈30度、右側屈20度であった。RSSTは4回であったが、飲み込みの主観は「飲み込み易くなった」と発言もあった。

     

    【結論】

     本例は半年前からの食道入口部障害により頭部突出位を日常の習慣性で姿勢変化を来したと考えられ、理学療法士の視点でアプローチを展開できた。藤島らは嚥下障害に対して頸部可動域訓練を推奨しており、我々理学療法士による解剖学、運動学的視点の介入は有効であり、急性期医療においても更なる研究が必要である。

     

    【倫理的配慮,説明と同意】

    本研究において、個人情報は特定されないよう配慮したデータの取り扱いに注意することを患者に十分説明し、発表の主旨を了解され同意を得た。

  • 中冨 浩文, 金 太一, 齊藤 延人
    脳卒中の外科
    2020年 48 巻 4 号 270-274
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル フリー

    Dolichoectatic and fusiform aneurysms of the posterior circulation represent a small subset of cerebral aneurysms and are often among the most difficult to treat. Various revascularization procedures are frequently performed. Among these techniques, occipital artery (OA) to posterior inferior cerebellar artery (PICA) anastomosis is the most frequently used. Thus, it is important to refine this surgical technique. In this technical note, we summarize optimized techniques of OA preparation and bypass for successful OA-PICA and OA to anterior inferior cerebellar artery (AICA) anastomoses.

  • 谷川 緑野, 杉村 敏秀, 関 俊隆, 泉 直人, 野田 公寿茂, 橋本 政明, 上山 博康
    脳神経外科ジャーナル
    2008年 17 巻 8 号 587-595
    発行日: 2008/08/20
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
    後頭蓋窩血行再建におけるOA-PICA anastomosisと椎骨動脈V3部の確保に必要な手術解剖について詳述する.後頭動脈は,上項線より上では皮下組織内を走行し後頭筋と皮下脂肪層との間を走行している.上項線よりも下方では後頭下筋群の間の層を走行している.椎骨動脈V3部は後頭蓋窩血行再建の血流供給源となりうるし,開頭前にV3部を確保可能なため早期の中枢血管確保が可能となり,椎骨動脈瘤では安全な手術プロセスをとることができる.しかし,V3部は椎骨静脈叢に取り囲まれているので,その露出には比較的多めの静脈性出血が伴うことが多い.可能なかぎり静脈叢からの出血を抑えたV3部の確保のための手技についても言及する.
  • 阿部 伸一
    日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
    2013年 32 巻 1-2 号 176-177
    発行日: 2013/04/26
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
  • 大野 紀和
    歯科基礎医学会雑誌
    1983年 25 巻 1 号 74-90
    発行日: 1983/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    食虫類のジャコウネズミおよびアズマモグラの頸椎および後頭背側筋群を観察した。両種とも頸椎は7個存在した。第一頸椎の形態はジャコウネズミでは肋横突起の横突起部が椎弓根部より左右側に突出し, 前結節が鋭く突出している。腹稜はジャコウネズミの第3・第4頸椎で強く発達している。ジャコウネズミの後頭背側筋には頸僧帽筋, 環椎肩甲筋, 頸菱形筋, 鎖骨後頭筋, 頭板状筋, 頸最長筋, 頸二頭筋, 錯綜筋, 後頭直筋, 上頭斜筋および下頭斜筋が認められた。アズマモグラでは頸僧帽筋は痕跡程度かあるいは欠如しており, 環椎肩甲筋および鎖骨後頭筋は認められない。両種の上頭斜筋と下頭斜筋を筋と神経の発生学的観点から考察すると, 上頭斜筋は多裂下筋系に, 下頭斜筋は横突間筋系にそれぞれ属すると考えられる。
  • 山形 雅俊
    日本耳鼻咽喉科学会会報
    1958年 61 巻 10 号 1631-1654
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1)In purpose to investigate a function of the saccular otoliths, the author designed the new method injuring only saccular macule through external auditory canal and completely preserving the cochlea and the utricle.
    2)In the observation of the rabbits subjected to this method, disturbance in the labyrinth reflex was very slight and grossly, reduction of tonus in the limb muscles or the change in rotation of eye were not recognized.
    In the next plase, labyrinthine spinal reflex was studied by means of the electromyography.
    1)The dischage interval of simple tonic NMU on a M.occip.rect.min.in the rabbit whose saccular macule had been injured was mostly 0.1_??_0.2sec.on both side, and moreover the wave pattern, electrical potential and progress were not unusual.On the other hand in the bealthy side of the rabbit whose contralateral labyrinth had been injured, the discharge.interval was very irregular and also the frequency of the discharge on the same side was charactresticaly de creased.
    2)In the rabbit whose saccular macule had been destroyed, the kinetic reflex for the swing movement(50 100cm/sec2)was obviously appeared for the direction of foreward, backward, right, left, up ward and downward as in the normal rabbit.
    3)The linear acceleration reflex was thoroughly by a new accurate sine-curved lineal accelera which speed was changed(0.6 0.004g)in for steps by means of an exchanger.
    (1)The threshold of the liener acceleration reflex in the normal rabbit was below 9cm/sec2 together for the direction of foreward, backward, right, left, upward &downward.
    (2)The rabbit whose saccular macule had been injured did not react to the delicate lineal acceleration for right and left.
    Namely, the saccular macule has a vestibular function, that reacts to the lineal accerelation, perpendicular to the saccle macule.
  • 内門 久明, 坂本 王哉, 服部 剛典, 竹重 暢之, 森岡 基浩, 内田 晋
    脊髄外科
    2020年 34 巻 2 号 182-185
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/26
    ジャーナル フリー
  • -Transcondylar approach-
    須方 肇, 辻本 壮, 住本 武弘, 森川 和要, 山本 茂, 白馬 明, 西村 周郎
    脳卒中の外科
    1991年 19 巻 3 号 337-342
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    The transcondylar approach, consisting of lateral suboccipital craniotomy along with removal of the lateral margin of the foramen magnum, the posteromedial one third of the occipital condyle and the arch of the atlas, allows good access to the anterior margin of the foramen magnum and the lower clival areas (the anterior aspect of the medulla oblongata) from below, without retraction of the cerebellum or the brain stem.
    This approach was successfully utilized for direct clipping of aneurysms of the vertebral artery and the vertebrobasilar junction.
  • 山本 将仁, 是澤 和人, 小川 雄大, 廣内 英智, 松永 智, 佐々木 穂高, 小高 研人, 笠原 正彰, 笠原 典夫, 崎山 浩司, 阿部 伸一
    日本口腔インプラント学会誌
    2019年 32 巻 3 号 181-188
    発行日: 2019/09/30
    公開日: 2019/11/20
    ジャーナル フリー

    日本における超高齢社会の中で,歯科インプラント治療後の管理期間は長期に及び,装着時の患者を取り巻くさまざまな環境は大きく変化していくことも想定しなければならなくなってきた.「患者に寄り添う歯科治療」とは,その長期管理の中で歯科医師・歯科衛生士は「患者の何を理解すべきか」そして「患者の何をチェックすべきか」を機能解剖学的視点から考えてみたい.筋力は45歳位を過ぎると加齢とともに萎縮することが知られている.その理由は個々の筋線維が細くなりながら(タンパク量を減らしながら),筋線維数も減じていくからである.そして高齢者の筋力低下は全身の体軸を歪めていく.頭頸部もこの体全体の姿勢の一部であり,加齢変化による体軸の形態変化が頭位や顎位へ影響を与える可能性を考えていかねばならない.頭位は主に頸部側方から後方の筋群によって決定,維持される.また頸部後方の深層に存在する後頭下筋群の多くは,頸椎から頭蓋底をつないでおり,頸椎の前彎の消失による頭位の前方への傾斜が,これらの筋の正常なポジションを変えていく.そしてこの形態的・機能的な加齢変化は顎関節にも生じ,顎位に影響を与えることがある.よって超高齢社会を迎えた日本では,口腔内だけではなく全身的な加齢変化をも記録していくことの必要性があると考える.

  • 福岡 明
    全日本鍼灸学会雑誌
    1994年 44 巻 4 号 375-381
    発行日: 1994/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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