セボフルラン(S)とイソフルラン(I)のてんかん性異常波の誘見性を心身障害者24名を対象にして検討した。てんかんの既往の有無で2群に分け,(A)酸素100%で終末呼気炭酸ガス濃度(ETC0_2)を40mmHg,(B)酸素50%笑気50%でETC0_2を40mmHg,(C)酸素100%でETC0_2を20mmHgの3つの換気条件で,それぞれS,Iを吸入させ脳波を測定し,異常波の出現を観察した。どの換気条件でも,用量依存性に脳波は徐波化を示した。てんかんの既往のない患者では,異常波は観察されなかったが,てんかん患者では2.0MACのS吸入によりIと比較して有意に異常波が多く観察された(p<0.05)。この異常波の発現は,50%笑気の混合吸入あるいは過換気により有意に減少した(p<0.05)。SはIとは中枢抑制の様式が異なり,てんかん患者では中枢抑制と同時に異常波の発現を抑制しない吸入麻酔薬であることがわかった。
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