21世紀のわが国の健康課題は, 「健康で, かつ質の高い生活を営む期間の延伸」である。そのためには,
(1) すでに疫学的ならびに臨床医学的に数多く示されている, 疾病を引き起こしやすい生活習慣のエビデンスを, 健康教育によってよく学びとり,
(2) エビデンスに基づいて提示された多くのメニューの中から, 自分に合ったメニューを自ら選択し, (インフォームドチョイス)
(3) クオリティーオブコミュニティに後押しされながら,
(4) 自ら楽しみつつ実践, 継続して, 人生最後の日まで自立向上を目指す気概を堅持する社会の実現が望まれる。
人間は感情を持ち, 情緒を大切に思い, かつ一人ではなく家族や地域の人々と共同で生活する生物であるから, EBM (evidence based medicine) から, さらにNBM (narrative based medicine) と家庭医療学 (family medicine) をも重視する必要がある。
生活習慣の歪みを是正して行動変容を達成し, 健康的な生活習慣を実践継続するためには, われわれとクライアントがface to faceでよく話し合い, そのクライアントの行動変容を阻害するバリアが何であるかを見極め, 協力一致して, そのバリアを乗り越える姿勢が大切であり, 教授する, 説得するという態度では行動変容の達成は難しい。
われわれは, ▽リハビリテーションマインドを柱にチームアプローチを行うリハビリ専門病院のスタッフと, ▽「スポーツコミュニティー」で「スポーツフォアオール」を志す健康科学アドバイザー, ▽さらに保健・体育・心理・栄養学の各スタッフ, そして23診療科の専門医と認定温泉医, スポーツ医等のチームで, 健康の4要素である, ◇運動◇栄養◇生活◇保養について, 個体差重視の処方で作成し, 地域社会, 自治体, 企業, 保健福祉の協力のもとで行動変容の達成を図っている。
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