北アルプス,内蔵助カールの植生景観の特徴を明らかにするために,カールの全域で,最大積雪深,消雪時期,地表面構成物質,斜面形,平均傾斜,および地形形成作用の6つの高山環境要因の分析を行ない,カール内の空間を,ほぼ同じような環境条件をもつ8つの景観単位 (Ökotop) に区分した.それらはハイマツ被覆岩塊地,ハイマツ被覆砂礫地,高山草原,強風無植生地,残雪砂礫地,中間的残雪岩塊地,裸岩壁・崖錐斜面,および越年雪渓である.景観単位の決定にかかわっている高山環境要因としては,最大積雪深の平均値がもっとも重要であるが,最大積雪深の平均値が同じときには,他の高山環境要因によって景観単位が決まる.また大きな環境変化がなくても一部の植生景観が変わり得ることがわかった.
抄録全体を表示