胃の小細胞癌は稀な疾患であるが,われわれは本症の1例を経験したので報告する.症例は59歳の男性で,心窩部痛・タール便を主訴として来院した.胃内視鏡で体上部後壁大弯側寄りにBorrmann 1型様病変を認め,生検で小細胞癌と診断され,膵脾合併胃全摘術を施行した.肉眼所見はP
0H
0N
1(+)S
3, stage IV, 5型(Borrmann 3型を土台として1型がのった形)の胃癌で,組織学的には一部扁平上皮癌への分化を伴った小細胞癌で,med, INFβ, ssβ, ly
1, v
3, n
1(+), ow(-), aw(-)であった.免疫化学療法を施行したが,術後7ヵ月に皮膚転移,10ヵ月後に肝転移を認め,11ヵ月後,突然の呼吸および心停止のため死亡した.
胃小細胞癌は現在まで本症例を含め16例の報告があるが,治療に対する反応性は低く,早期に肝転移をきたし予後不良である.
抄録全体を表示