本研究の目的は, 歯の石灰化年齢より先天性欠如歯を有する小児の成長・発育を評価するとともに, 永久歯胚欠如の発現状態の検討を行なうことにある. そこで, 愛知学院大学附属病院小児歯科外来を訪れた5~10歳の小児患者, 男児795名, 女児828名合計1623名の経年的パノラマエックス線写真5120枚, デンタルエックス線写真4850枚を研究資料とし, 検討を加えたところ以下の結果を得た.
1. 先天性欠如歯の発現頻度は, 男児9.7%, 女児12.1%, 全体で,10.9%であった.
2. 先天性欠如歯数別の発現頻度は,1歯欠如が最も多く, 次に2歯欠如が多く認められた. また, 男女別においても同様の傾向であった.
3. 欠如部位では, 下顎第2小臼歯, 下顎側切歯の欠如が最も多く見られた.
4. 先天性欠如歯を有する患児の歯の形成段階は, 男女・年齢間に有意な差は認められなかった.
5. 健常児に比べ, 先天性欠如歯を有する小児の方が, 歯の形成段階が遅れる傾向が認められた.
6. 欠如歯数が多くなるにつれ, 歯の形成段階は, 遅れる傾向が認められた.
抄録全体を表示