本研究は,韓国の
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集団 (A
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集団)の福岡への進出行動を事例に,A
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集団の海外進出の戦略,福岡への進出の経緯,そして福岡市の政策や地元
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との協力関係の形成が外資誘致に果たした役割を分析した.その結果は,次の4点に要約される.第1に,A
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集団の海外進出戦略は,世界の3極体制を成すアジア・ヨーロッパ・アメリカへの進出,A建設・A電子を柱とする海外進出,
企業集団レベルの系列企業
間の共同出資,そして現地
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との提携による合弁事業の4点を特徴としていた.第2に,A
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集団3社の福岡への進出における最も重要かつ積極的な契機は,A建設の積極的な日本市場の開拓戦略が福岡で実現されたこと,そこで構築された地元
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(C地所)との協力関係が形成されたこと,そしてこの時期に福岡市によって福岡 SRP (Software Research Park) 事業が打ち出されたこと,の3点であった.第3に,福岡市は,情報関連の研究開発機能の集積を目指す福岡SRP事業を展開することによって,海外一地元
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間の協力関係を構築する契機を与え,地方中核都市への大手外資
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の誘致を促した.第4に,地元
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は,A
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集団の事業展開に伴う資金を円滑に供給し,外資
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の福岡進出を積極的に促進した.また,トップ経営者間の信頼をもとに形成されたA建設一C地所間の協力関係が,A
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集団一C銀行グループ間の協力関係の構築,さらには韓日の
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集団・グループの投資活動の重要な柱となったことである.
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