新しく開発されたモノバクタム系抗生物質Azthreonamについて, 抗菌力, ヒトにおける血中濃度および喀痰内移行濃度, 呼吸器感染症における臨床効果を検討し以下の結果を得た。
1. 抗菌力: 臨床材料由来の643株 (グラム陽性球菌58株, 腸内細菌300株, 糖非発酵グラム陰性桿菌206株,
Bacteroides fragilis 79株) について, 日本化学療法学会規定の方 法 (接種菌量10
6CFU/ml) に従って最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 同時に測定したCefazolin, Cefoperazone, Cefotetan, Ceftizoxime, Latamoxef, Cefmetazole, Cefotiamと比較した。
Azthreonamは全般に抗-菌力は強く, 特に腸内細菌, 緑膿菌に対して最も強い抗菌活性を示したが,
B. fragilis, グラム陽性球菌に対する抗菌力は低かった。
2. 血中濃度および喀痰内移行濃度: 呼吸器感染症患者2例に, 本剤19を1時間かけて点滴静注した場合の血中および喀痰中濃度を測定した。血中濃度は点滴終了時に38μg/mlのピーク値を示し, 以後漸減し, 6時間目には1~2.5μg/mlであった。喀痰内濃度は点滴終了後2~4時間の喀痰にピーク値0.7~1.7μg/mlが認められた。
3. 臨床効果: 慢性気道感染症9例, 細菌性肺炎4例, 腎盂腎炎1例の計14例に1日量2~4gを2回分割点滴静注し, 5~14日間投与した。著効4例, 有効4例, やや有効4例, 無効2例と判定された。GOT, GPT値の軽度上昇した例が2例あったが, 投与終了後は速やかに正常化した。自覚的副作用は認めなかった。
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