1)1972年千葉県大網町のハウス栽培地帯で,これまでサツマイモネコブセンチュウに抵抗性とされるAnahu系トマト品種に対し,その抵抗性を破る新しい個体群のサツマイモネコブセンチュウ(O-Pop.)が見出され,それに寄生しない・原種農場産(千葉市)のサツマイモネコブセンチュウ個体群(G-Pop・)を対照とし,両個体群の寄生性をトマト,タバコ,サツマイモの抵抗性・感受性両品種への接種により調査した。
2)O.Pop.およびG-Pop.の接種後48時間までの初期侵入数は,トマトとタバコの抵抗性・感受性両品種間で差が認められなかったが,サツマイモでは感受性品種の方が抵抗性品種のそれよりも多かった。
3)トマトの抵抗性・感受性両品種に対する寄生性はO-Pop.とG-POP.の両個体群間で明らかに異なり,O-Pop.は両品種に寄生性を有し根こぶ指数も高かったが,G-Pop.は抵抗性品種で侵入幼虫の発育のおくれが目立ち,また根こぶ指数も低かった。
4)タバコの抵抗性・感受性両品種に対する寄生性はO-POP.とG-Popの両個体群間に差異が認められず,ともに抵抗性品種では感受性品種にくらべ侵入幼虫の発育のおくれが目立ち,根こぶ指数も低かった。サツマイモの場合もタバコでの結果とほぼ同様であった。
5)以上の結果からサツマイモネコブセンチュウのOPOP.は,トマトの抵抗性品種(Anahu系)の抵抗性を破り寄生し得るが,タバコおよびサツマイモの抵抗性品種には寄生し得ない系統であると考えられる。
抄録全体を表示