外傷性腰ヘルニアは比較的稀な疾患であり, 手術時期および術式において標準的な治療が確立していない. この度, われわれはシートベルト損傷による外傷性腰ヘルニアに対し超音波検査を併用し修復術を施行した症例を経験したため報告する. 症例は40代女性. 自動車運転中に電柱に衝突し救急搬送となった. 病院到着時, 全身状態は安定していたが右前胸部から左側腹部および右側腹部にシートベルト痕を認めた. CT検査にて右下腰ヘルニアと診断し, 一度退院後に待機的に前方アプローチにてヘルニア修復術を行った. 術後8日目に退院, 術後12ヵ月現在, 明らかな合併症なく経過している. 外傷性腰ヘルニアは, 腹腔内臓器損傷の有無・合併症のリスク・ヘルニア門のサイズを考慮した手術適応・時期の決定が重要である.
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