当論文の主張は,以下の3点である。(1)森林組合の機能論的分析は,これまで経済的,そして社会的な側面を中心に展開されてきた。しかし,森林組合は政治的にも重要な機能を担っている。(2)これらの機能(経済的機能,社会的機能,政治的機能)は,経済システム,社会システム(狭義),政治システムにおける組合の働きと理解することができる。(3)森林組合は,協同組合としての性格だけでなく利益集団あるいは業界団体としての機能も有している。組合を利益集団として明確に位置づけ,森林組合研究に利益集団論等の研究成果を取り込んでいくべきである。森林組合の政治的活動には,1941年の全国森林組合連合会の設立と,1960年代前半の外材輸入の自由化という少なくとも2つの転機が考えられるが,これらの時期を通じて我が国の森林組合は利益集団としての性格を強めてきた可能性もある。
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