1. 総合内科外来を受診した不定愁訴の患者41名にCMI, SDS, MASの心理テストを行い, 呼吸器疾患のうち過換気症候群, 気管支喘息, COPD, 胸痛を主訴とし, 器質的疾患の無いもの, 原因不明の呼吸困難を訴えるものの合計120名と比較した.
2. 不定愁訴の患者では, CMIで神経症傾向の強いIII+IVが68.3%, SDSでうつ傾向の強い50以上が39%, MASで不安傾向の強い25以上が43.8%であり, これらは呼吸器疾患のいずれのグループより高率で, 神経症, 不安, うつ傾向の強いことが示された.
3. 不定愁訴の患者に自律神経調整剤を投与した場合, CMIでI+IIで54.5%, SDSの49以下で2.1%, MASの24以下では50%の有効率であったが, CMIのIII+IV, SDSの50%以上, MASの25以上では, それぞれ20%, 16.3%, 7.7%と低い脊効率しか得られなかった. また, 抗うつ剤は後者のグループに対してかなり有効であるのに対し, 前者のグループにはほとんど無効であった.
4. 向精神薬で改善しない不定愁訴の患者は50%以上あり, 薬剤治療以外の心身医学的アプローチが必要と思われた.
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