山地に堆積している積雪の物理的特性を調べるため, 1978年3月から5月にかけて, 4回にわたり, 北海道大雪山の旭岳西斜面の積雪について, 積雪深, 積雪水量, 積雪平均密度, 平均ラム硬度, 雪温分布, 層構造および雪質の観測を行った.樹林限界である高度1,400m以下の樹林帯では, 堆積末期の積雪水量, 平均密度および平均ラム硬度は高度と共に増加していた.融雪期に入ると, 平均ラム硬度は減少し, 平均密度と共に高度による違いが小さくなった.一方, 高度1,400m以上の高山裸地帯では, これらの値は場所によって大きく異なり, 高度依存性は見られなかった, 雪質については, 高度400m以下でしもざらめ雪, 樹林帯下部の高度400から1,100mでこしもざらめ雪, 最も積雪の深い樹林帯上部の1,100から1,500mでしまり雪, 1,500m以上の高山裸地帯で再びしもざらめ雪が多く見られた.
積雪水量と積雪深の関係は, 調査を行った時期ごとに, 一本の直線で近似でき, 乾き雪の時期と濡れざらめ雪の時期で直線の傾きは異なっていた.また, 積雪の平均密度と平均ラム硬度の関係も, 乾き雪と濡れざらめ雪で大きく異なっていた.
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