ITを利用した環境効率を目指した衣服の仮想的選択時での消費者のファッション意識を明らかにするため,成人女性の3次元着装シミュレーションを用いて,そのデザインイメージと衣生活スタイルにおける性と年齢による共通性と相違性について究明した.20代,40代,70代の平均的サイズの各3次元人体に,同じ20種類のデザイン服を仮想的に3次元着装によりシミュレーション化した合計60着のデザインイメージ評価と,評価者の衣生活スタイルについて調査を実施した.評価対象者は,A
グループ
(成人女性127名,平均年齢45.88歳,25歳以上~70代までの各年代),Y
グループ
(若年女性135名,平均年齢20.67歳,18歳~23歳),M
グループ
(成人男性57名,平均年齢38.95歳,20代~60代までの各年代)の3
グループ
である.主な衣生活スタイル13項目と60着のデザインは5つのイメージキーワードを用いて,それぞれ5段階評価を行った.衣服の購入とイメージに対しての自己的および他者的な評価と意識に関して,性と年齢による共通性と相違性が有意に認められた.3
グループ
での共通意識として,衣服購入時の最も高い条件と主成分分析によるイメージキーワードの認識(A1.レディ・フェミニン系&A5.エレガント系―A3.カジュアル系とA4.スタンダード&レトロ系―A2.シャープ&モダン系)が認められ,性差も年齢差もなかった.さらに各主成分得点を用いて
グループ
別にクラスタ分析をして,各
グループ
によるデザイン服の分類についても検討を加えた.A4イメージの4種類の服は性差も年齢差もなく3つの
グループ
で同じ評価がされたが,3つの
グループ
共通イメージのデザイン服は20種類中8種類に止まった.しかし,女性のA
グループ
とY
グループ
では12種類が共通のイメージを持ち,衣服購入時の条件として自己と対比した着用時のファッション意識が高く,実際のデザイン服のクラスタ分類も概略的には同傾向を示した.一方,女性の2つの
グループ
に対して男性のM
グループ
の衣服購入時における要求意識と知識は低く,デザイン服のクラスタ分類にも差が見られた.イメージキーワードでの意識に性差も年齢差もないが,実際の服でのイメージには性差が見られ,男性のM
グループ
でのA3イメージ評価のクラスタには2つの女性
グループ
でのA1&A5イメージの服がいくつか含まれた.なお,衣服購入時に管理意識の低かった衣服に対して他者的立場の若年女性のY
グループ
と男性のM
グループ
では,A2イメージがA3とA1&A5の主成分としては相反するイメージ用語と組み合わさって,ひとつのクラスタを形成していた.評価対象とした大人の成人女性服に対しての他者的な立場から,着用経験の有無や服の種類などの知識不足など具体的な衣服での評価が難しい側面が示唆され,性差と年齢差の両面からの評価傾向が認められた.
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