本論文では, 現在進めている関東地方における煉瓦造水門に関する調査ならびに研究の結果を報告する。煉瓦造水門は, 近世の木, 竹で構築される水門から現代の鉄筋コンクリートで建設される水門へ技術の中継をはたした河川構造物と位置づけられる。したがって, その構造, 建設方法, 使用材料, あるいは建設年代, 分布についての情報は, 土木技術史の研究上きわめて重要と考える。調査・研究は, 水門の現存, 解体消失に関わらず, 現地に赴き, 写真撮影, 主要部寸法測定, 銘板判読, 記念碑探索をし, さらに設計書, 仕様書, 古写真等原史料を収集, 分析する方法で行った。現在までに, 43基の煉瓦造水門を確認し, 多くの貴重な原史料を発掘している。
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