平安時代中期以降の上級貴族住宅とされる寝殿造住宅につくられた寝殿造庭園については, これまで文献史料を中心に研究が進められてきた。近年, 土地の開発等によって行われる埋蔵文化財の緊急発掘調査の増加に伴って庭園遺構の検出が全国で相次ぎ,
平安京
跡においても高陽院・堀河院等, 寝殿造庭園とされる事例が検出されている。その成果から住宅の中心建物の平面構成を
平安京
の条坊との関連で検討してみると, 東西いずれかの門の方向へ片寄って配置されている事が指摘される。庭園の空間構成について見た場合,
平安京
の地形を最大限に活用しようという姿勢が見られ, このことが建物の構成と相俟って特徴ある寝殿造住宅を構成していたのであった。
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