症例は73歳, 男性. 58歳より, 口渇, 多尿, 体重に減少があり糖尿病と診断され, 当科を紹介された. また, 59歳時に高血圧症, 61歳時には高脂血症を指摘された. 69歳よりSU剤の投与が開始されたが血糖コントロールが不良のため, 71歳よりインスリン療法に変更し血糖コントロールは良好となった. しかし, 薬剤投与にも拘わらず中性脂肪187mg/d
l, 総コレステロール266mg/d
l, HDL-C32mg/d
lで, LDL-Cは197mg/d
l, apoB179mg/d
lと高値を示した. 腎機能も, 血清尿素窒素29mg/d
l, 血清クレアチニン1.7mg/d
lと軽度の障害が認められていた. 今回, この患者の血中AGE値を測定したところ, pentosideine 1.010μg/m
l, carboxymethyllysine 80mU/m
lと著しい高値を示した. 本症例は, 現在までに透析治療などは受けておらず, AGEに伴う糖尿病性合併症の発症機序や進展を考える上で貴重な症例と考えられたので報告した.
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